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恒心文庫:メモ

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

唐澤貴洋はそそっかしく物忘れが激しい。
それは幼少の頃から変わらない。
メモをとってもそのメモをどこかにやってしまう、故にメモの意味をなさず父洋も頭を抱えていた。そんな父の姿を見て貴洋も思うことがあったのか貴洋なりに絶対にメモを無くさない様にするにはどうすれば良いのかを自問した。
そこで思いついたことは弟を使うことだった、自分より物覚えがよい弟に言われたことを記憶してもらう、というありふれたものではなく、弟の背中にメモを刻み込むという方法で貴洋は言いつけを守ろうとした。
洋に何か言われるたびに、貴洋は弟の服を脱がし購入した包丁で背中にメモを刻み込んだ。舌を噛まない様にタオルを口に噛ませるあたり普段はバカな癖にこういうところに知恵が回るのが貴洋がバカなりに弁護士になれた所以である。
弟の厚史は兄より物覚えはよく勉強もできたが、いかんせん貴洋に対抗するにはフィジカルスペックと体重が足りず、いつも押し倒され、服を脱がされ背中にメモを刻み込まれていた。
貴洋は弟が死なない限りメモは消えずどこかで参照すれば良いと考えていたが、厚史は背中に刻み込まれた貴洋のメモが化膿しその苦痛から逃れるために自殺してしまった。
いち早く弟の遺書を見つけた貴洋は遺書を改竄し自分の身に操作の手が及ぶのを避けたのだ。そして時が経つにつれ貴洋は己が弟を死に追いやったことを忘れ、悪いものたちに暴行を受けて死んだのだと記憶が書き換えられ今に至る。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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