矢尾渉
基本資料 | |
本名 | 矢尾渉 |
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別名・渾名 | リアルヤーマン |
生年月日・年齢 | 64歳、1960年9月16日生まれ |
出生地 | 東京都(wp) |
才能 | 有能 |
騒動との関連 | 唐澤貴洋の発信者情報開示請求を複数回棄却 |
職業 | 裁判官 |
最終学歴 | 東京大学 |
関係者 | |
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矢尾 渉(やお わたる、Yao Wataru、1960年9月16日[1] - )とは、日本の裁判官である。那覇家庭裁判所長、元東京地方裁判所判事。
パカ弁の天敵であり、東京地裁判事時代に唐澤貴洋を代理人とする発信者情報開示請求を複数回棄却している。
経歴
- 東京都出身、東京大学卒業[2]
- 司法修習37期
- 東京地裁、横浜地裁、名古屋地裁、札幌地裁、最高裁(調査官)、東京高裁等で勤務
- 2007年 - 東京地裁部総括判事
- 2009年 - 大阪地裁部総括判事
- 2012年 - 東京地裁部総括判事
- 2015年 - 那覇家裁所長
過去に関わった事件
通常、発信者情報開示請求事件は原告が勝って当たり前の裁判である(それ故、素人が本人訴訟でプロバイダに完全勝利という判例も多数存在する。)。唐澤貴洋もこの手の裁判は連戦連勝(のはず)である。しかし、矢尾裁判官はプロバイダ責任制限法の趣旨を重視する立場からパカ弁達の安易な請求に対して都度慎重な判断を行い、唐澤に対しても少なくとも2回、敗訴を言い渡している。
東京地裁民事第25部平成27年4月21日判決
平成26年(ワ)第30135号(LEX/DB25525703)。原告である東芝元社員ことZ1が「〔Z1は〕ブラック企業の手先」「ブラックを暴露してる人をZ1が会社に通報する」「Z1がここで他のブラック被害者」[3]などと掲示板に書かれたことが原告が違法な企業によって利用されていると誤信させ、投稿によって原告の権利(名誉権)が侵害されたとして、不法行為に基づく損害賠償請求を行うために発信者情報の開示を求めた裁判。唐澤は原田學植を復代理人として訴訟を委任した。
矢尾裁判官はプロバイダ責任法の趣旨を次のとおり示した。
「プロバイダ責任法は,4条1項において,特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は,侵害情報の流通によって自己の権利が侵害されたことが明らかであるなど同項各号所定の要件のいずれにも該当するときに限り,特定電気通信役務提供者に対し,その発信者情報の開示を請求することができる旨を規定しているところ,これは,発信者情報が,発信者のプライバシー,表現の自由,通信の秘密にかかわる情報であり,正当な理由がない限り第三者に開示されるべきものではなく,また,これがいったん開示されると開示前の状態への回復は不可能となることから,発信者情報の開示請求につき,侵害情報の流通による開示請求者の権利侵害が明白であることなどの厳格な要件を定めたものと解される。
これを別の観点から説明すると,プロバイダ責任法4条1項1号が「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたとき。」と定めずに「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。」と定めているのは,特定電気通信役務提供者は,情報の発信者とは異なり,情報の真の意味内容,発信者の意図や情報発信に至る背景・経緯などを知らないのが通常であることから,侵害情報が開示請求者の権利を侵害しないことについての主張立証を情報の発信者と同程度に行う能力を有しないこと,したがって,開示請求者に通常よりも高度の立証責任を負わせるのでなければ,プライバシーなどの情報の発信者の正当な利益を保護することができないことを考慮し,社会的評価の低下などの権利侵害の発生の要件事実について通常よりも高度の確実性を有する立証の負担(単なる証拠の優越では足りない。)を開示請求者に課するとともに,違法性阻却事由が存在する可能性が乏しいことの証明も開示請求者に課する趣旨であると解される。」
そして本件について下記の通り判示し、原告の訴えを退けた。
「仮に本件各投稿が原告に関するものであるとしても,一般の閲覧者の通常の注意と読み方を基準とした場合,本件各投稿の内容は,そもそもその趣旨が不明である上,投稿内容中の「ブラック企業」ないし「ブラック」の文言は,それが特定の会社や企業を指して批判ないし誹謗するものと解することはできず,単なる揶揄ないし罵詈雑言の類にすぎないというべきであって,それが違法な行為を行っている会社や企業を意味するものと解することはできない。」
「本件各投稿は,原告が「ブラック企業」に利用されていることについて,何ら具体的な事情や根拠の記載がないから,原告が違法な行為を行っている企業によって利用されているとの印象を与えるものであることが明らかであるとはいえない。」
「本件各投稿は,原告の社会的評価を低下させることが明らかであるとはいえず,それによって原告の権利が侵害されたことが明らかであるとはいえない」
東京地裁民事第25部平成27年6月30日判決
平成27年(ワ)第1872号(WestlawJapan2015WLJPCA06308020)。原告は山形県酒田市のクリーニング業を営む法人。原告について、2ちゃんねる掲示板に何者かにより「ブラック企業大賞実行委員会にノミネートお願いしようよ」との記載が投稿されたため、原告はこの投稿によって名誉権が侵害されたとして、不法行為に基づく損害賠償請求を行うために発信者情報の開示を求めて提訴した。
矢尾裁判官は本件も法の趣旨と事実関係に基づき原告の請求を一蹴した。法の趣旨については平成26年(ワ)第30135号と一言一句同じ(コピペ)。判示は下記の通り(上のコピペっぽいけど)。
「仮に本件投稿が原告に関するものであるとしても,一般の閲覧者の通常の注意と読み方を基準とした場合,本件投稿の内容は,そもそもその趣旨が不明である上,投稿内容中の「ブラック企業」の文言は,原告について原告主張のような事実を摘示するものと解することはできず,単なる揶揄ないし罵詈雑言の類にすぎないというべきである。」
「本件投稿は,原告の社会的評価を低下させることが明らかであるとはいえず,それによって原告の権利が侵害されたことが明らかであるとはいえない」
その他
- 東京地方裁判所平成27年4月7日判決(LEX/DB25525699)では、西川口の風俗店(個室付浴場と思われる)の元従業員である原告の源氏名による誹謗中傷について「投稿に原告の氏名が記載されていない」「源氏名に該当する者が原告以外にいないと閲覧者が理解するとは限らない」として発信者情報の開示請求をすべて棄却。
- 東京地方裁判所平成27年5月26日判決(LEX/DB25530223)では、風俗店の元従業員である原告の勤務先上場企業等と思われる固有名詞を摘示した投稿について「原告を対象とするものであると理解することが明らかであるとはいえない」として発信者情報の開示請求を退ける一方で、風俗店のサービスに礼を述べる体裁で原告の本名を摘示した投稿についてはプライバシーの侵害を認めて開示請求を認容した。
注釈
- ↑ 裁判所|那覇家庭裁判所長
- ↑ 『全裁判官経歴総覧 第4版』公人社。
- ↑ これらのスレッドとレスの詳細な内容は判決書の別紙情報目録に記載されているが、DBではその記載が省略されている。
関連項目
- ヤーマン
- 唐澤貴洋の裁判一覧
- 唐澤貴洋の裁判一覧/東京地方裁判所平成24年(ワ)第4004号 - このときは合議体の裁判長として請求を認容している。