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恒心文庫:

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本文

「はじめまして。当職は■■■■という者ナリ」

ソレに初めて会ったのは、ゼミでの飲み会だった。
その時の会話はあまりにも強烈で、今でもよく覚えている。

「キミは、いくらでなら、体を売る?」

自分がどう答えたかは、よく覚えていない。
きっと……、きっと適当にごまかしたんだろう。


その後ソレは、あのゼミ生と話し込んでいた。あいつは質問に答えたんだ。
あいつのこともよく覚えている。良い奴だった。線の細い男だった。家が裕福ではないらしく、金に困っていた。

それから数週間後、あいつは消えた。
いろんな噂が立ったけど、すぐに皆、それについて話さなくなった。
何故かって……? そりゃ…………

……そう、いえば、さ。
ソレがさ、しばらくして、その……焼き肉をしたんだ。

肉を持ってきてさ。たくさん。食べきれないからって。
なんの肉かって…………? 羊だよ。
ソレはそう言っていたんだ。だからそうなんだよ。

羊なんだよ。

タイトルについて

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