恒心文庫:羊
ナビゲーションに移動
検索に移動
本文
「はじめまして。当職は■■■■という者ナリ」
ソレに初めて会ったのは、ゼミでの飲み会だった。
その時の会話はあまりにも強烈で、今でもよく覚えている。
「キミは、いくらでなら、体を売る?」
自分がどう答えたかは、よく覚えていない。
きっと……、きっと適当にごまかしたんだろう。
その後ソレは、あのゼミ生と話し込んでいた。あいつは質問に答えたんだ。
あいつのこともよく覚えている。良い奴だった。線の細い男だった。家が裕福ではないらしく、金に困っていた。
それから数週間後、あいつは消えた。
いろんな噂が立ったけど、すぐに皆、それについて話さなくなった。
何故かって……? そりゃ…………
……そう、いえば、さ。
ソレがさ、しばらくして、その……焼き肉をしたんだ。
肉を持ってきてさ。たくさん。食べきれないからって。
なんの肉かって…………? 羊だよ。
ソレはそう言っていたんだ。だからそうなんだよ。
羊なんだよ。
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
リンク
- 初出 - デリュケー 初心者投稿スレッド☆1 >>264(魚拓)
恒心文庫