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恒心文庫:絶叫

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

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「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

 貴洋はうんこをしていた。
 正確に言うならば寒空の下、東京のど真ん中の某公園でストッキングを頭に被って褌一丁になり、無数のカメラを向けられながら例のダンスをしつつ絶叫脱糞していた。
 貴洋の絶叫は恥によるものか、それとも怒りによるものか、それとも誰かへのアピールなのか、周囲を囲む観衆各員にはとんと解らぬことであった。しかしアスファルトに垂れ流されるゲル状の糞尿は間違いなく貴洋の尻穴から流れ出たものである。

 何故国家経済の中心たる東京都心に於いてこのような意味不明な愚行が行われているのか。
いやそもそも何故このド無能は路上で脱糞なんぞしているのか。
 騒動を聞き付けて来た山岡にはさっぱり理解出来ない。
 何かしらの前例が有れば取っ掛かりと成り得るのだが、如何せん事が事だけに前例が無い。
 知らぬは一生の恥と言うし、山岡は隣で腹を抱えて爆笑している山本に聞く事にした。

「知らねーよ。」
宜なるかな。山岡はただそう思った。

 そんなわけで山本と山岡は脱糞弁護マンの真相を知らないのだが、そんな事は関係ないと言わんばかりに貴洋はとかく必死で脱糞を行っていた。
 何故彼は情熱的脱糞をしているのか。
 原因は昨日、例の事務所での出来事にある。

 一通のローティーン少女の写真付きラブレターが事務所の弁護士宛に届けられた。
 簡単にまとめると一目惚れしたから某公園に来てほしいという内容である。
 ラブレターを最初に見つけた貴洋は中身を確認すると彼だけのものにすべくウッキウキで懐に仕舞い込んだ。
偽ラブレター事件があったというのにこの喜びようである。彼は経験からも学べない愚者オブ愚者、正しく頭唐澤である訳だ。
 そんな性欲の塊こと貴洋であるが格好つけたいという思いは持ち合わせていた。
とはいえ貴洋はファッションについて自信がない。
そこで彼は父洋を頼ることにしたのである。
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 貴洋は決意した。
 必ずかの美少女を当職のモノにせんと決意した。
 貴洋は知恵の無い弁護士であったが、性欲は人一倍であった。

「モッテモテになるためにはどんな服を着ていけば良いナリか。」
貴洋は自分で考えようともせずに父洋の下に直行した。
貴洋にとって問題解決とは即ち父洋への相談であり、自力救済など端から頭に入っていない。
入っているのは貴洋の好物であるバター揚げ(彼がいつも持っていたものはアイスではなかった!)とアウロリ画像ばかりである。
 これまでありとあらゆる状況から貴洋を救って来たレジェンド洋のボケ始めの脳細胞が貴洋にテレビの聞きかじり知識を授ける。
「服はいつものにして、下着は勝負下着が良いらしいモミ。ストッキングを付けるともっといい。」

 これを聞いた貴洋はストッキングを被り、いつものスーツの下に褌を履くことにした。

 残念なことに必死にストッキングを被ろうとする阿呆を止めるべきたかひろくん係こと山岡はまだ出社していない。
 15分程かけてストッキングを装備した貴洋は一刻も早くデートからの即ハメをすべく某公園に向かって全力で走り始めた。
無論オラ森を出る前に息切れしてしまい、結局三輪車にのって移動することになったが些末なことである。
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 さて、貴洋が某公園に着いたはいいが公園には誰もいない。
 したがって現時点でこの公園にいるのはストッキングを被り、股間にテントを張っている変態ただ一人である。

 そんなワクワクしながら美少女を待つ貴洋の前に、一本のバター揚げを持った老人が現れた。
 「君、バター揚げが好きそうな顔をしているね。相当食べてきただろう?」
 「●はい」
貴洋はもはやバター揚げしか視界に入れていない。
会計士会会長経験を持つ本当の本当に優しいおじさんを全く認識していないのである。これはいけない。
 「これは私の発明した新しいバター揚げでね、アサガオの種を粉にして小麦粉に混ぜてある。
これはいつもバター揚げを美味しそうに食べている君へのプレゼントだ。
デート前の景気付けに食べるといい。」
 「●はい」
バター揚げを受け取った貴洋はストッキングを鼻の位置まで上げたのち、顔や手、服を油でギットギトにしながらかぶりつく。
油を油で揚げた純粋カロリーの暴力、たまらない。と言わんばかりに貪りつく固形燃料。
固形燃料に液体燃料が混じり終わるころには、貴洋はマスコミと野次馬に囲まれていた。
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 「今日の『突貫!プロの日常』はMさんの紹介で何故かストッキングを被っている弁護士の唐澤さんです。」
 「弁護士の唐澤です。」
 貴洋は思わず生返事をしてしまった。NHKと違ってリハーサルが無い事実に身が震えている。
 「唐澤さんは朝食はガッツリいただく派のようですが、いつもバター揚げを食べているのですか?」

―――貴洋は焦燥していた。
 テレビに出ているのにスーツがテッカテカなのだ。
唐澤のスーツテッカテカでワロタなどと言われると思うと貴洋は焦燥せざるを得ない。
そこで貴洋はスーツを脱いだ。
 「えっ唐澤さん、なんで脱ぎ始めてるんですか?!」
 「【アンノォ・・・】キャアアアアア!!」

―――貴洋は怒っていた。
 可愛いダーキニーとの逢瀬を下級国民の取材ごときに邪魔された事への怒りである。
 「どうしたんですか貴洋さん、急に顔を真っ赤にして。」
 「尊師の顔真っ赤っ赤で笑うわこんなん」

―――貴洋は恐怖していた。
 野次馬の中に恒心教徒がいることに気がついた貴洋は視線を野次馬に向ける。
 しかし、貴洋を取り囲む野次馬たちの視線は、中学での同級生の冷たい視線によく似ていた。
あるものは忌避し、あるものは嘲笑してくる彼らの、氷のような視線に貴洋は恐怖した。

「あああああ・・・」

貴洋を凄まじい腹痛が襲う。
ストレスとアサガオの種が効いてきたのだろう。

「あああああああ!!」

しかし叫びの原因を一つの事象に求めることはできない。
腹痛だけでも、怒りだけでも、焦りだけでも、恐怖だけでもない。

「ああああああああああああ!!!!(ブバッ!ブリュリュ!!ブリブリュリュ!!!!)

ただ、その叫びは、

「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

魂の絶叫であった。

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