恒心文庫:父を叩いて三千円
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本文
母を訪ねて三千里 父を叩いて三千円である
ここの法律事務所では新手のゲームが流行っていた
すなわち父を叩いて悲鳴の大きさを競い合う遊びだ
一番の人には三千円が景品として渡されるので皆真剣である
初めは素手だったのだが段々とエスカレートして行き
ベルト 竹刀 木刀 鉄パイプ
今では発展途上国の死刑などで使われる鋼鉄を編み込んだ鉄鞭が使われていた
痩せたリャマに似た男が鉄鞭を振るう
筋肉質のエロそうな男が鉄鞭を振るう
物凄い小太りのデブが鉄鞭を振るう
・・・洋はうんともすんとも鳴かなくなってしまっていた
限界を超えてしまったのだろう
これはもしかしたら死んでいるのではないか
三人が悩んでいると事務所の扉が開く
そこにこの世の全てを牛耳ってそうなロマンスグレーが現れた
「やぁやぁ 楽しそうだねぇ 私も混ぜてくれないか」
男は黒いモミアゲをいじりながらその整った顔を綻ばせ何やら手招きする
と、屈強な黒服が焼いた火かき棒を持ってきたではないか
黒モミは厚皮の手袋を着けるとその焼いた火かき棒を掴む
そしてつかつかと父に近寄り
ジュウ
ぎゃあ と父が叫んだ
あまりの音量に事務所の窓ガラスにヒビが入る
これは歴代最高記録だ
3人は脱帽し計九千円を黒モミに渡すと黒モミは笑いながら事務所を後にした
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
リンク
- 初出 - デリュケースレinエビケー父を叩いて三千円(魚拓)
恒心文庫