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恒心文庫:水の音は体をうち

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本文

たかひろはウォシュレットをこよなく愛していた。
自宅でも出先でも旅館でも、ウォシュレットを使うのが生きがいであった。
ウォシュレットがないと知ると癇癪(かんしゃく)をおこし泣きわめくものだから両親は彼の出先についてはよく調べた。
旅行するときはウォシュレットのある旅館を選び、学校もウォシュレットのある私立学校に行かせてやったほどである。
弟はこんなことはないのに、なぜ兄だけこのようになってしまったのかしらんと二人揃って首を傾げた。
幸い、父ひろしは金持ちであったし、長年のアナルセックスがたたり痔瘻(じろう)を患っていたものだから、たかひろの自宅にはウォシュレットは完備されていた。
だからたかひろが自宅で癇癪を起こさないという点では、両親は安心して過ごすことができた。
さて、ウォシュレットをこよなく愛していた、とは一体どのようなことか。
彼はトイレに入るとまっさきにウォシュレットの設定を「ビデ」に合わせる。
「ビデ」というのは、女性器の洗浄に用いられるモードである。尻の穴よりも前方に、すなわち女性器のあたりにノズルが伸びるのである。
TOTOの技術者が開発の際、社内の女性社員に女性器を見せるように依頼したがことごとく断られ、
仕方ないものだからストリップショーに経費で出かけて、女性器の研究をじっくり行ったことは有名な逸話であろう。
この「ビデ」のモードに設定をすると、そのノズルの前に口を開けて出し、スイッチをいれる。
当然、ノズルから出る水は次々とたかひろの口の中に飛び込んでゆく。
これをたかひろはごくごくごくごくと美味しそうに飲むのである。
たかひろの男性器はこの過程でむくむくと隆起し、やがて射精の快感に震えるのだ。
つまりたかひろは変態的な妄想をし、ウォシュレットを愉しんでいるのだ。
彼の目の前には股を広げた女性が座り、放尿する。そして、その尿をたかひろはごくごくごくごくと飲み干すのである。
これが彼の脳内である。毎回、この妄想をトイレで繰り広げ射精するのだ。
ウォシュレットを愛している、というのはこういうことなのだ。
しかし、ある日悲劇が起こった。

生来無能であったたかひろは、鍵をかけ忘れ呑気にこの妄想に浸っていた。
ところが、弟のあつしが扉を開けこの兄の狂気的な行為をまじまじと目撃してしまった。
たかひろは大いに慌てた。あつしを睨みつけた。
記憶があるのはここまでである。
気がついた時には、弟がびしょ濡れになり死体となっていた。
溺死だろうか、窒息死だろうか。誰だ弟を殺したのは。
なぜか冷静だったたかひろはこの死体を近所の用水路へと運ぶ。そして、投げいれた。
用水路の流れは優しく弟を運んでゆく。
ひと仕事を終えたたかひろは家へ戻ると便意を催したのでトイレに入り脱糞した。
ウォシュレットで尻の穴を洗浄するために水を出す。
この瞬間、たかひろはすべてを思い出す。弟の首を締めたこと、それでも暴れるものだからウォシュレットの水に弟の顔をあて力を奪ったこと。
この恐ろしい光景と事実にたかひろは絶叫した。
腸の中にまだ残っていた便がその声とともに放出される。
ノズルからはまだ水は出続け、たかひろの糞はそれと溶け合い、尻全面に、水の勢いを借りて広がる。
そしてなお恐ろしいのは、このときたかひろは勃起し、射精していたということである。
平常の妄想の癖で、ウォシュレットを使うと勃起するようになっていたことに加え、弟を殺したことにも快感を覚えていたのだ。
この二つの愉悦が、彼の尻の穴の下、糞便と水が混ざり合うようにぐちゃぐちゃに合わさり、彼にとてつもない快楽をもたらし、射精へと誘ったのである。
尻からも精巣からも、そして喉からもすべてを出し切った彼は、いまだかつて経験したことのないような満足感に包まれていた。
窓の外には、糞便のように茶色に装いを変えた庭の木の葉が、ゆらゆらと揺れていた。
たかひろはまるで、大事な弟が自分にさようならと手を振っているようだと感じ涙した。
これ以来、彼は絶叫と脱糞、そして射精をおのおの別になすことは不可能になる。
彼が十七歳の頃の話である。

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