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恒心文庫:心って減るものなんですね

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

心って減るものなんですね

今、僕の心を天秤に載せてたとしても1ミリも傾きもしないでしょう。

心って減るものなんですね。

昔はせめてもの300万円の束よりは重かったでしょう。

心って減るものなんですね

少年時代には、胸を抑えて蹲っている老婆に救急車を呼ぼうか、声をかけるぐらいには心に重さがあったはずでした。

心って減るものなんですね

僕、Yの心が減ったのはきっと手を汚してしまったからなんでしょうね。
汚した手から、心に虫が巣食ってきっと心を喰い荒らされたんでしょうね。

大人になったら、他の人間の命令を聞くのが当たり前だと思っていた頃から
心はもう減り始めていたんでしょうね。

心って減っていくものなんですね

仕事だから当たり前と、助けが必要な人間を救いもせず、お金を取ることに苦しみながら加担していました。

そのときはまだ、心は悲鳴をあげていたんですね

心は止まってしまうものなんですね

目的に必要のない人間を殺してしまうことに、遂に協力してしまいました。

心はもう起き上がらなくなっていたんですね

心って無くなるものなんですね

お金のためなら人の親にでも毒を盛ろうという人間に逆らえず、とうとうその人の親に毒を盛りました。

心が初めからない人間っているんですね


今の私もまた、その人と同じ人間なんでしょうね。

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