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恒心文庫:名もなき無能

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本文

弁護士は奈々年に一度地上に出現しては相手を求め交雑を遂げる。それは継続する。幾世代も幾世代も継続する。我々は皆いつのまにか地中に植え付けられ小便に濡れた地面から這い出して使い古したチンポのような樹木の木肌を上り成虫になった後、予め罪に濡れた汚い翅を羽ばたかせ目指すのは常にただ、よりよい遺伝子の異性に他ない。しかし、その弁護士が心魅かれた相手。それは会計士で、且つ♂であった。異種であり、同性であった。♂が♂に挿入ることは死にも等しい。挿入れられた♂は死んでしまう事態もあり得る。弁護士は未だ童貞と言えどもその程度の知識は六法全書に載っているから身に着いていた。覚悟を決めろ。それでも男か。会計士が渾身で発した激励は事務所の壁さえ突き抜けて虎ノ門一帯に響き渡る。弁護士はその言葉を受けて遂に腹を据えた。この翅で羽ばたかねば。待っていても決して他人が援助してくれることはない。様々な苦しみの多いこの世に態々生まれてきた意味がここにある。自らの尻たぶを自らで掴み左右に大きく開くと排泄穴を交尾穴へと進化させる覚悟を決めたのだ。期待以上のデカマラ。期待以上の快楽。一突き一突きの摩擦が自らの力で地上の這い出た褒美であって、糞に汚れながら生存してきた掛け替えのない理由なのだ。そして♂同士。神の摂理として♂交尾で次世代を生産することはできない。弁護士は未だ独身と言えどもその程度の知識は二回目の司法試験に出題されたからマスターしていた。夏が暮れて行く。残された生命の時間は予想できなくとも来夏には既にこの世に居ないことだけが確実である。精子と精子が出会っても別箇の何かを生み出せはしなかった。彼のその愛は現世に残留することなく彼の肉体の消滅と共に血塗られた人類史の中へと消えゆくのだ。

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