恒心文庫:ミルクの時間はまだだぜ。
本文
ミルクの時間はまだだぜ。
この言葉は政治的に自らと異なるスタンスの者への挑発と捉えられている。
しかし本当にそうであろうか?
実は貴洋の悲哀が隠されているのである。
ネグレクトをした無能な厚子。
そのために、貴洋を出産した父洋は母乳を与えなくてはならなかった。
父洋の母乳。貴洋にとってそれは安心できる味。
乳児の頃は1日何度も飲んでいた父洋の母乳だが、いつしかそれは離れることができないものとなり、毎日夜8-9時ごろに貴洋は母乳を飲んでいた。
父洋がブルドッグソース事件に巻き込まれても、監査先企業と対立しても、毎日母乳を飲み続けていたのである。
しかし父洋は古稀を迎えようとする頃、母乳が出なくなった。
そこで父洋は、乳首を開発していやらしく勃起し、母乳を出せるようになった弁護士、裕明をスカウトした。
裕明の母乳はウィークデーにしか飲めなかったが、父洋と同じくらいの濃厚で安心感を与えるものであった。
しかし裕明の母乳は山本にとられてしまい、裕明は退所。
新たに母乳を与えてくれる者はいなくなった。
父洋はおしゃぶりを貴洋に与え、またおいしい牛乳を用意し、毎夜一人で飲ませることにしたのである。
ようやくそれに慣れてきた貴洋。
夕方は貴洋にとってミルクの時間ではない。
そして、父洋や裕明から卒乳したという自信もあって、「ミルクの時間はまだだぜ。」という発言になったのである。
しかし母乳は人工乳よりも栄養価が高い。
母乳を摂取していない貴洋には、栄養が足りないのか、情緒不安定の様子が見られるようだ。
もういちど、母乳を飲むことができれば・・・・・・
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
この作品について
2021年6月20日の尊師のツイート[1]を受けて2021/06/21(月) 08:43:39.34に投稿された。