「炎上弁護士/本文」の版間の差分

>化学に強い弁護士
(2章)
>化学に強い弁護士
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弟は中学から同系列の高校にエスカレーター式で入学していましたが、その弟の様子が徐々におかしくなっていることに私はうすうす気づいていました。<br>
弟は中学から同系列の高校にエスカレーター式で入学していましたが、その弟の様子が徐々におかしくなっていることに私はうすうす気づいていました。<br>
たとえば、高校入学直後は普通の学生だったのですが、次第にヒップホップミュージシャンが着るようなストリートファッション(B系ファッション)を好んで着るようになったのです。<br>
たとえば、高校入学直後は普通の学生だったのですが、次第にヒップホップミュージシャンが着るようなストリートファッション(B系ファッション)を好んで着るようになったのです。<br>
オーバーサイズのTシャツに、ダボダポのずり下げたズボン(腰パン)を履いていました。<br>
オーバーサイズのTシャツに、ダボダポのずり下げたズボン(腰パン)を履いていました。<br>
人がよく、やさしかった以前の弟とは、イメージがまったくかけ離れています。<br>
人がよく、やさしかった以前の弟とは、イメージがまったくかけ離れています。<br>
なぜそんな個性が強めの格好をするようになったのかと、実は私は気になっていました。<br>
なぜそんな個性が強めの格好をするようになったのかと、実は私は気になっていました。<br>
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しかし、弟に面と向かって言うのはさすがに気恥ずかしくて、「弟に『何かあったら、俺に言え、俺を頼れよ』と言っておいて」と、直接本人ではなく、母親に伝えることしかできませんでした。
しかし、弟に面と向かって言うのはさすがに気恥ずかしくて、「弟に『何かあったら、俺に言え、俺を頼れよ』と言っておいて」と、直接本人ではなく、母親に伝えることしかできませんでした。


当時、東京の繁華街にはさまざまな不良グループが存在し、「パーティーを開く」という名目のもと、パーティー券(パー券と呼ばれていた)を売りつけ、収益を上げていました。<br>
当時、東京の繁華街にはさまざまな不良グループが存在し、「パーティーを開く」という名目のもと、パーティー券(パー券と呼ばれていた)を売りつけ、収益を上げていました。<br>
パーティーは金目当てであったので、開かれないこともしばしばありました。<br>
パーティーは金目当てであったので、開かれないこともしばしばありました。<br>
弟は高校の同級生のつながりで知り合った地元の不良たちに目をつけられて、パシリ(使いっぱしり)、恐喝の対象になっていたようです。
弟は高校の同級生のつながりで知り合った地元の不良たちに目をつけられて、パシリ(使いっぱしり)、恐喝の対象になっていたようです。


また、その不良グループには、優秀な私立高校をドロップアウトし、「人を殺すことは怖くない」「自分は少年院にいたことがある」と吹聴している人間もいました。<br>
また、その不良グループには、優秀な私立高校をドロップアウトし、「人を殺すことは怖くない」「自分は少年院にいたことがある」と吹聴している人間もいました。<br>