「東京地方裁判所令和3年(ワ)第6410号」の版間の差分

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令和3年(ワ)第6410号 発信者情報開示請求事件
== 全文 ==
令和3年7月16日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
<br>
令和3年(ワ)第6410号  
<br>
発信者情報開示請求事件
<br>
口頭弁論終結日 令和3年5月28日
口頭弁論終結日 令和3年5月28日
判 決
<br>
5 原 告 X
=== 判 決 ===
同訴訟代理人弁護士 井 上 拓
原 告 [[木下喬弘|]]<br>
山 岡 裕 明
同訴訟代理人弁護士 井 上 拓<br>
町 田 力
[[山岡裕明(弁護士)|山 岡 裕 明]]
千 葉 哲 也
<br>
10 被 告 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
[[町田力|町 田 力]]
同訴訟代理人弁護士 松 田 真
<br>
[[千葉哲也|千 葉 哲 也]]
主 文
<br>
被 告
<br>
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
<br>
同訴訟代理人弁護士 松 田 真
<br>
===主 文===
1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
15 2 訴訟費用は被告の負担とする。
<br>
事実及び理 由
2 訴訟費用は被告の負担とする。
第1 請求
<br>
主文同旨
===事実及び理 由===
第2 事案の概要
====第1 請求====
20 本件は,原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)がインターネッ
主文同旨
ト上の短文投稿サイトであるツイッター(Twitter)において別紙投稿記
====第2 事案の概要====
事目録記載の各投稿(以下,符号に従って「本件投稿1」などといい,併せて「本
本件は,原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)がインターネット上の短文投稿サイトであるツイッター(Twitter)において別紙投稿記事目録記載の各投稿(以下,符号に従って「本件投稿1」などといい,併せて「本件各投稿」という。)をしたことにより,原告の著作権(複製権及び公衆送信権),名誉権及び名誉感情が侵害されたことは明らかであると主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
件各投稿」という。)をしたことにより,原告の著作権(複製権及び公衆送信権),
<br>
名誉権及び名誉感情が侵害されたことは明らかであると主張して,被告に対し,
前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。)
25 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する
<br>
法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者
=====(1) 当事者=====
情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案
[[ファイル:QvMWK3Sl 400x400.jpg|thumb|150px|right|原告イラスト画像(甲2)]]
である。
'''''' 原告は,「[https://twitter.com/mph_for_doctors X1X´(X)]」というアカウント名のツイッターのアカウントを有する医師である。同アカウントのプロフィール画像には,別紙著作物目録記載の原告のイラスト画像(以下「原告イラスト画像」という。)が用いられている。(甲2)
前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨に
<br>
より認められる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断ら
''''''被告は,電気通信事業等を目的とする株式会社であり,プロバイダ責任制限法2条3号の特定電気通信役務提供者に該当する。
5 ない限り,枝番を含むものとする。)
=====(2) 本件各投稿=====
(1) 当事者
[[ファイル:5J2DL8 5 400x400.jpg|thumb|right|200px|(本件投稿1)]]
原告は,「X1X´(X)」というアカウント名のツイッターのアカウン
本件投稿者は,ツイッター上に,「{{Archive|https://twitter.com/Baka21903525|https://archive.ph/wC2Lz|尻穴まで洗う救急医Baka}}」というアカウント名のアカウント(以下「本件アカウント」という。)を開設し,原告イラスト画像をそのプロフィール画像に設定した上で(本件投稿1),令和2年12月28日から令和3年1月16日までの間,別紙投稿記事目録記載のとおり,本件投稿2~6を行った。(甲4~9)
トを有する医師である。同アカウントのプロフィール画像には,別紙著作物
=====(3) ツイッター社からのIPアドレスの開示=====
目録記載の原告のイラスト画像(以下「原告イラスト画像」という。)が用
原告は,ツイッターインク社(以下「ツイッター社」という。)を相手方として,令和2年12月1日正午(日本標準時)以降,仮処分決定が相手方に送達された日の正午時点までに本件アカウントにログインがあった際のIPアドレス及びタイムスタンプのうちツイッター社が保有するものの仮の開示を求める仮処分命令を東京地方裁判所に申し立てたところ,同裁判所は,令和3年2月15日,原告の申立てを認容する内容の仮処分決定をした。(甲10)
10 いられている。(甲2)
<br>
被告は,電気通信事業等を目的とする株式会社であり,プロバイダ責任制
ツイッター社は,令和3年3月8日頃,上記仮処分決定に基づき,原告に対し,令和2年12月23日から令和3年1月27日までの間に本件アカウントへのログインがあった際のIPアドレス及びタイムスタンプを開示した。原告は,本件において,これらのIPアドレス及びタイムスタンプの一部(以下,このIPアドレスを「本件IPアドレス」といい,タイムスタンプと併せて「本件IPアドレス等」という。)の開示を求めている。(甲11)
限法2条3号の特定電気通信役務提供者に該当する。
<br>
(2) 本件各投稿
ウ 本件IPアドレスは,被告が保有するものである。(甲12)
本件投稿者は,ツイッター上に,「尻穴まで洗う救急医Baka」というア
=====(4) ツイッターの仕組み=====
15 カウント名のアカウント(以下「本件アカウント」という。)を開設し,原告
ツイッターを利用するには,まず,氏名,電話番号又はメールアドレスの登録及びパスワードを設定してアカウントを作成する必要があり,また,自己のアカウントで投稿するためには,当該アカウントにログインする必要がある。(弁論の全趣旨)
イラスト画像をそのプロフィール画像に設定した上で(本件投稿1),令和2
=== 争点 ===
年12月28日から令和3年1月16日までの間,別紙投稿記事目録記載のと
=====(1) 本件発信者情報がプロバイダ責任制限法4条1項の「権利の侵害に係る発信者情報」に当たるか。(争点1)=====
おり,本件投稿2~6を行った。(甲4~9)
=====(2) 被告がプロパイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たるか。(争点2)=====
(3) ツイッター社からのIPアドレスの開示
=====(3) 権利侵害の明白性(争点3)=====
20 原告は,ツイッターインク社(以下「ツイッター社」という。)を相手方
ア 本件各投稿による著作権侵害の明白性(争点3-1)<br>
として,令和2年12月1日正午(日本標準時)以降,仮処分決定が相手方
イ 本件投稿2による名誉感情侵害の明白性(争点3-2)<br>
に送達された日の正午時点までに本件アカウントにログインがあった際の
ウ 本件投稿3による名誉感情侵害の明白性(争点3-3)<br>
IPアドレス及びタイムスタンプのうちツイッター社が保有するものの仮
エ 本件投稿4による名誉感情・名誉権侵害の明白性(争点3-4)<br>
の開示を求める仮処分命令を東京地方裁判所に申し立てたところ,同裁判所
オ 本件投稿5による名誉感情侵害の明白性(争点3-5)<br>
25 は,令和3年2月15日,原告の申立てを認容する内容の仮処分決定をした。
カ 本件投稿6による名誉感情侵害の明白性(争点3-6)
(甲10)
=====(4) 正当な理由の有無(争点4) =====
ツイッター社は,令和3年3月8日頃,上記仮処分決定に基づき,原告に
====第3 争点に関する当事者の主張====
対し,令和2年12月23日から令和3年1月27日までの間に本件アカウ
====争点1(本件発信者情報がプロバイダ責任制限法4条1項の「権利の侵害に係る発信者情報」に当たるか。)====
ントへのログインがあった際のIPアドレス及びタイムスタンプを開示し
=====(原告の主張)=====
た。
(1) プロバイダ責任制限法4条1項は,「権利の侵害に係る発信者情報」とやや幅のある規定をしていることに照らすと,「権利の侵害に係る発信者情報」は,侵害情報が発信された際に割り当てられたIPアドレス等から把握される発信者情報に限定されることなく,権利侵害との結びつきがあり,権利侵害者の特定に資する通信から把握される発信者情報を含むものと解される。
5 原告は,本件において,これらのIPアドレス及びタイムスタンプの一部
<br>
(以下,このIPアドレスを「本件IPアドレス」といい,タイムスタンプと
また,同条の趣旨は,特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を受けた者が,情報の発信者のプライバシーや表現の自由等に配慮した厳格な要件の下で,特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することができるものとすることにより,加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解されるところ,侵害情報そのものの送信時点ではなく,その前後に割り当てられたIPアドレス等から把握される発信者情報であっても,それが当該侵害情報の発信者のものと認められる場合には,当該発信者のプライバシー,通信の秘密等の保護の必要性の程度に比べ,被害者の権利の
併せて「本件IPアドレス等」という。)の開示を求めている。(甲11)
ウ 本件IPアドレスは,被告が保有するものである。(甲12)
(4) ツイッターの仕組み
10 ツイッターを利用するには,まず,氏名,電話番号又はメールアドレスの登
録及びパスワードを設定してアカウントを作成する必要があり,また,自己の
アカウントで投稿するためには,当該アカウントにログインする必要がある。
(弁論の全趣旨)
争点
15 (1) 本件発信者情報がプロバイダ責任制限法4条1項の「権利の侵害に係る発信
者情報」に当たるか。(争点1)
(2) 被告がプロパイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たるか。
(争点2)
(3) 権利侵害の明白性(争点3)
20 ア 本件各投稿による著作権侵害の明白性(争点3-1)
イ 本件投稿2による名誉感情侵害の明白性(争点3-2)
ウ 本件投稿3による名誉感情侵害の明白性(争点3-3)
エ 本件投稿4による名誉感情・名誉権侵害の明白性(争点3-4)
オ 本件投稿5による名誉感情侵害の明白性(争点3-5)
25 カ 本件投稿6による名誉感情侵害の明白性(争点3-6)
(4) 正当な理由の有無(争点4)  
第3 争点に関する当事者の主張
争点1(本件発信者情報がプロバイダ責任制限法4条1項の「権利の侵害に係
る発信者情報」に当たるか。)
(原告の主張)
5 (1) プロバイダ責任制限法4条1項は,「権利の侵害に係る発信者情報」とやや
幅のある規定をしていることに照らすと,「権利の侵害に係る発信者情報」は,
侵害情報が発信された際に割り当てられたIPアドレス等から把握される発
信者情報に限定されることなく,権利侵害との結びつきがあり,権利侵害者の
特定に資する通信から把握される発信者情報を含むものと解される。
10 また,同条の趣旨は,特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害を
受けた者が,情報の発信者のプライバシーや表現の自由等に配慮した厳格な要
件の下で,特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求すること
ができるものとすることにより,加害者の特定を可能にして被害者の権利の救
済を図ることにあると解されるところ,侵害情報そのものの送信時点ではなく,
15 その前後に割り当てられたIPアドレス等から把握される発信者情報であっ
ても,それが当該侵害情報の発信者のものと認められる場合には,当該発信者
のプライバシー,通信の秘密等の保護の必要性の程度に比べ,被害者の権利の
救済を図る必要性がより高いというべきである。
救済を図る必要性がより高いというべきである。
以上によれば,侵害情報の送信の前後に割り当てられたIPアドレスから把
<br>以上によれば,侵害情報の送信の前後に割り当てられたIPアドレスから把握される発信者情報であっても,それが侵害情報の発信者のものと認められるのであれば,「権利の侵害に係る発信者情報」に当たるというべきである。
20 握される発信者情報であっても,それが侵害情報の発信者のものと認められる
<br>
のであれば,「権利の侵害に係る発信者情報」に当たるというべきである。
(2) ツイッターは,アカウント及びパスワードを入力してログインをしなければ利用できないサービスであること,本件アカウントは原告イラスト画像をプロフィール画像に使用して原告に対する誹謗中傷を繰り返すものであり,原告に悪意のある特定の個人によって開設・投稿されたものと考えられること,ツイッター社から開示された期間においても毎日本件アカウントへのログインされていることなどからすれば,別紙IPアドレス目録記載の各IPアドレス及び各タイムスタンプにより特定されるツイッターへのログイン(以下,これらのログインを「本件各ログイン」という。)をした者と本件投稿者は同一である。
(2) ツイッターは,アカウント及びパスワードを入力してログインをしなければ
<br>
利用できないサービスであること,本件アカウントは原告イラスト画像をプロ
したがって,本件発信者情報は,「権利の侵害に係る発信者情報」に当たる。
フィール画像に使用して原告に対する誹謗中傷を繰り返すものであり,原告に
=====(被告の主張)=====
25 悪意のある特定の個人によって開設・投稿されたものと考えられること,ツイ
(1) プロバイダ責任制限法4条は,発信者の利益の保護のため,発信者情報の開示に関して厳格な要件を定めるとともに,開示関係役務提供者が慎重な判断をし,開示請求に応じなかったことにより開示請求者に損害が生じた場合の損害10 賠償責任を制限しているところ,このような法の趣旨に鑑みると,同条所定の要件は厳格に解すべきであり,「権利の侵害に係る発信者情報」とは,「侵害情報が流通されることとなった特定電気通信の過程において把握される発信者情報」を意味するものと解される。
ッター社から開示された期間においても毎日本件アカウントへのログイン
<br>
されていることなどからすれば,別紙IPアドレス目録記載の各IPアドレス
本件各ログインは,侵害情報である本件各投稿とは別個の情報の流通であり,本件各ログインに係る情報は,侵害情報が流通されることとなった特定電気通信の過程において把握される発信者情報ではない以上,「権利の侵害に係る発信者情報」には当たらない。
及び各タイムスタンプにより特定されるツイッターへのログイン(以下,これ
<br>
らのログインを「本件各ログイン」という。)をした者と本件投稿者は同一で
(2) 本件アカウントへのログインは,別紙IPアドレス目録に記載された各IPアドレス以外のIPアドレスからも行われているから,本件アカウントが複数人で共有されている可能性も否定できない。すなわち,本件各ログインに際して使用された回線の契約者が本件投稿者でない可能性も排除できない。
ある。
<br>
5 したがって,本件発信者情報は,「権利の侵害に係る発信者情報」に当たる。
(3) 被告は,本件各ログインに際して使用された各回線の契約者に対し,プロバイダ責任制限法4条2項所定の意見照会を行ったところ,別紙IPアドレス目録の番号3及び4記載のIPアドレス及びタイムスタンプにより特定される各ログイン(以下「番号3及び4に係る各ログイン」という。)に関し,契約回線の運用受託者から,当該契約回線はフリーWiFiサービスに提供しているものであり,当該契約回線を使用して本件各投稿が行われたかどうかは不明であるとの回答があった。この回答を前提とすれば,当該契約回線の契約者に係る情報が明らかになったとしても,本件発信者を特定することはできないため,
(被告の主張)
番号3及び4に係るログインに関する情報は,「権利の侵害に係る発信者情報」には当たらない。
(1) プロバイダ責任制限法4条は,発信者の利益の保護のため,発信者情報の開
====争点2(被告がプロパイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当たるか。)====
示に関して厳格な要件を定めるとともに,開示関係役務提供者が慎重な判断を
=====(原告の主張)=====
し,開示請求に応じなかったことにより開示請求者に損害が生じた場合の損害
前記1(原告の主張)のとおり,ログインに係る情報であっても,それが侵害情報の発信者のものと認められるのであれば,「権利の侵害に係る発信者情報」に当たるものと解されるから,当該侵害情報の発信者による通信を媒介し,その際に割り当てられたIPアドレスを保有する特定電気通信役務提供者は,プロバイダ責任制限法4条1項にいう「開示関係役務提供者」に当たるというべきである。
10 賠償責任を制限しているところ,このような法の趣旨に鑑みると,同条所定の
=====(被告の主張)=====
要件は厳格に解すべきであり,「権利の侵害に係る発信者情報」とは,「侵害
前記1(被告の主張)のとおり,本件各ログインに係る通信は,あくまで本件アカウントへのログインに際して行われるデータの送受信にすぎず,権利侵害情報そのものに係る特定電気通信ではないから,本件においては,被告は「開示関係役務提供者」には当たらない。
情報が流通されることとなった特定電気通信の過程において把握される発信
====3 争点3-1(本件各投稿による著作権侵害の明白性)====
者情報」を意味するものと解される。
=====(原告の主張)=====
本件各ログインは,侵害情報である本件各投稿とは別個の情報の流通であり,
原告イラスト画像は,原告がクリエイターに製作を依頼し,その納品とともに著作権を譲り受けたものであるから,原告がその著作権者であるところ,本件投稿者は,本件各投稿に際して,原告の承諾なく,本件イラスト画像と全く同一の画像をツイッター上に投稿したものであるから,本件イラスト画像に係る原告の複製権及び公衆送信権を侵害することが明らかである。
15 本件各ログインに係る情報は,侵害情報が流通されることとなった特定電気通
=====(被告の主張)=====
信の過程において把握される発信者情報ではない以上,「権利の侵害に係る発
本件イラスト画像につき,原告が著作権者であることが証拠上明らかであるということはできない。また,本件イラスト画像の投稿に関し,著作物の利用に関する例外に当たらないことが明らかでもない以上,本件各投稿が原告イラスト画像に係る原告の著作権を侵害することは明らかではない。
信者情報」には当たらない。
====4 争点3-2(本件投稿2による名誉感情侵害の明白性)====
(2) 本件アカウントへのログインは,別紙IPアドレス目録に記載された各IP
=====(原告の主張)=====
アドレス以外のIPアドレスからも行われているから,本件アカウントが複数
本件アカウントは,原告のアカウント名をもじったアカウント名を使用している上に,原告イラスト画像をプロフィール画像として設定している。加えて,本件投稿2は,第三者が原告のツイートを引用して「この1年間で「高みの見物」を極めた男」とツイートしたことに対して,「この人のキモさを表現することは不可能です」と返信するものであることからすれば,本件投稿2が原告を対象とすることは明らかである。
20 人で共有されている可能性も否定できない。すなわち,本件各ログインに際し
<br>
て使用された回線の契約者が本件投稿者でない可能性も排除できない。
本件投稿2は,その文脈・内容に照らして,原告の意見に対する評価を述べたものとは解されず,原告の人格・人間性を殊更に否定するものであるから,社会通念上許される限度を超えて原告を侮辱するものである。
(3) 被告は,本件各ログインに際して使用された各回線の契約者に対し,プロバ
イダ責任制限法4条2項所定の意見照会を行ったところ,別紙IPアドレス目
録の番号3及び4記載のIPアドレス及びタイムスタンプにより特定される
25 各ログイン(以下「番号3及び4に係る各ログイン」という。)に関し,契約回線の運用受託者から,当該契約回線はフリーWiFiサービスに提供している
ものであり,当該契約回線を使用して本件各投稿が行われたかどうかは不明で
あるとの回答があった。この回答を前提とすれば,当該契約回線の契約者に係
る情報が明らかになったとしても,本件発信者を特定することはできないため,
番号3及び4に係るログインに関する情報は,「権利の侵害に係る発信者情報」
5 には当たらない。
争点2(被告がプロパイダ責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に当
たるか。)
(原告の主張)
前記1(原告の主張)のとおり,ログインに係る情報であっても,それが侵害
10 情報の発信者のものと認められるのであれば,「権利の侵害に係る発信者情報」
に当たるものと解されるから,当該侵害情報の発信者による通信を媒介し,その
際に割り当てられたIPアドレスを保有する特定電気通信役務提供者は,プロバ
イダ責任制限法4条1項にいう「開示関係役務提供者」に当たるというべきであ
る。
15 (被告の主張)
前記1(被告の主張)のとおり,本件各ログインに係る通信は,あくまで本件
アカウントへのログインに際して行われるデータの送受信にすぎず,権利侵害情
報そのものに係る特定電気通信ではないから,本件においては,被告は「開示関
係役務提供者」には当たらない。
20 3 争点3-1(本件各投稿による著作権侵害の明白性)
(原告の主張)
原告イラスト画像は,原告がクリエイターに製作を依頼し,その納品とともに
著作権を譲り受けたものであるから,原告がその著作権者であるところ,本件投
稿者は,本件各投稿に際して,原告の承諾なく,本件イラスト画像と全く同一の
25 画像をツイッター上に投稿したものであるから,本件イラスト画像に係る原告の
複製権及び公衆送信権を侵害することが明らかである。
(被告の主張)
本件イラスト画像につき,原告が著作権者であることが証拠上明らかであると
いうことはできない。また,本件イラスト画像の投稿に関し,著作物の利用に関
する例外に当たらないことが明らかでもない以上,本件各投稿が原告イラスト画
5 像に係る原告の著作権を侵害することは明らかではない。
4 争点3-2(本件投稿2による名誉感情侵害の明白性)
(原告の主張)
本件アカウントは,原告のアカウント名をもじったアカウント名を使用してい
る上に,原告イラスト画像をプロフィール画像として設定している。加えて,
10 本件投稿2は,第三者が原告のツイートを引用して「この1年間で「高みの見物」
を極めた男」とツイートしたことに対して,「この人のキモさを表現することは
不可能です」と返信するものであることからすれば,本件投稿2が原告を対象と
することは明らかである。
本件投稿2は,その文脈・内容に照らして,原告の意見に対する評価を述べた
15 ものとは解されず,原告の人格・人間性を殊更に否定するものであるから,社会
通念上許される限度を超えて原告を侮辱するものである。
(被告の主張)
(被告の主張)
  本件アカウントや本件投稿2には原告の氏名は記載されていないから,一般読
  本件アカウントや本件投稿2には原告の氏名は記載されていないから,一般読
匿名利用者