名誉毀損の違法性阻却に関する記述を追加。政治的表現に抵触する可能性のある箇所を除去。
>黒水力 (→弁護士ドットコムニュースへの登場(2020年6月8日): 尊師の週刊誌に対する矛盾した姿勢を文末に追記。) |
>黒水力 (名誉毀損の違法性阻却に関する記述を追加。政治的表現に抵触する可能性のある箇所を除去。) |
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{{Pathnav|唐澤貴洋の発言一覧|frame=1}} | {{Pathnav|唐澤貴洋の発言一覧|frame=1}} | ||
'''テラスハウス問題'''とは、{{wpl|フジテレビ}}の人気番組「{{wpl|テラスハウス (テレビ番組)|テラスハウス}}」に出演していた女子プロレスラーの{{wpl|木村花}}が、SNS上での誹謗中傷を苦にして2020年5月23日に自殺した問題である。この問題により、同番組は打ち切りとなった。本項ではこの問題の詳細は扱わず<ref>テラスハウス問題の細かい経緯はMuyopediaの{{wpl|木村花}}の項目に詳述されているので、そちらを参照されたい。</ref> | '''テラスハウス問題'''とは、{{wpl|フジテレビ}}の人気番組「{{wpl|テラスハウス (テレビ番組)|テラスハウス}}」に出演していた女子プロレスラーの{{wpl|木村花}}が、SNS上での誹謗中傷を苦にして2020年5月23日に自殺した問題である。この問題により、同番組は打ち切りとなった。本項ではこの問題の詳細は扱わず<ref>テラスハウス問題の細かい経緯はMuyopediaの{{wpl|木村花}}の項目に詳述されているので、そちらを参照されたい。</ref>、一人の人間の自殺という悲しむべき事実に便乗して、自らの政治的主張と売名を行う尊師の姿勢を、[[事実追求路線]]の視点から追及する。 | ||
== 発言の推移 == | == 発言の推移 == | ||
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直接的な加害者は侮辱行為をした多数の人ですが、フジテレビとしてはリアリティ番組の危険性について検証をし、今後の番組制作のガイドラインを作る必要があると思います。 | 直接的な加害者は侮辱行為をした多数の人ですが、フジテレビとしてはリアリティ番組の危険性について検証をし、今後の番組制作のガイドラインを作る必要があると思います。 | ||
この箇所は一見すると尊師がフジテレビを批判しているように見えるが、具体的な批判は行わずにどちらともとれる曖昧な発言で終始しており、事実上フジテレビを擁護しているに等しい。 | |||
『花が鼻につく』はフジテレビ公式YouTubeチャンネル「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020 山チャンネル」に掲載された動画であり、『テラスハウス』司会者の山里亮太<ref>ただし、山里もアドリブではなく、フジテレビが作成した脚本に基づいて木村花を中傷していた可能性が高いため、加害者であると同時にフジテレビのヤラセ脚本による被害者であると見ることも可能である。また、同番組で以前山里とともに司会を努め、山里のブレーキ役となっていた{{wpl|徳井義実}}が降板したことにより、山里の出演者攻撃がエスカレートしたという指摘も存在する。山里亮太が[[長谷川亮太|ハッセ]]の高校の先輩であるという点も、恒心的には留意すべき事実である。</ref>が木村花を中傷した内容である(現在はチャンネルごと全て削除されている)。意図的かどうかは不明だが、'''この箇所で尊師は山里の存在やフジテレビ公式動画である点に一切触れず、あたかもネット住民が作成した匿名中傷動画とも取れるように発言している'''。 | 『花が鼻につく』はフジテレビ公式YouTubeチャンネル「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020 山チャンネル」に掲載された動画であり、『テラスハウス』司会者の山里亮太<ref>ただし、山里もアドリブではなく、フジテレビが作成した脚本に基づいて木村花を中傷していた可能性が高いため、加害者であると同時にフジテレビのヤラセ脚本による被害者であると見ることも可能である。また、同番組で以前山里とともに司会を努め、山里のブレーキ役となっていた{{wpl|徳井義実}}が降板したことにより、山里の出演者攻撃がエスカレートしたという指摘も存在する。山里亮太が[[長谷川亮太|ハッセ]]の高校の先輩であるという点も、恒心的には留意すべき事実である。</ref>が木村花を中傷した内容である(現在はチャンネルごと全て削除されている)。意図的かどうかは不明だが、'''この箇所で尊師は山里の存在やフジテレビ公式動画である点に一切触れず、あたかもネット住民が作成した匿名中傷動画とも取れるように発言している'''。 | ||
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尊師はこれまで同様、牽強付会な理論に基づき、ネット上の誹謗中傷を傷害罪と同等の刑罰にせよという主張を行っている。これは法的思考におけるバランス感覚を著しく欠く特異な主張である。そのため、'''尊師の提案(ネット上の名誉毀損・侮辱行為を傷害罪と同等の罰則にする)に同調する人間は、法曹関係者を含め、現時点でその存在が一切確認されていない。''' | 尊師はこれまで同様、牽強付会な理論に基づき、ネット上の誹謗中傷を傷害罪と同等の刑罰にせよという主張を行っている。これは法的思考におけるバランス感覚を著しく欠く特異な主張である。そのため、'''尊師の提案(ネット上の名誉毀損・侮辱行為を傷害罪と同等の罰則にする)に同調する人間は、法曹関係者を含め、現時点でその存在が一切確認されていない。''' | ||
''' | '''【補足1】'''現行刑法(平成16年改正)の204条で定められている傷害罪の法定刑は'''15年以下の懲役または50万円以下の罰金'''である。一方、刑法230条で定められている名誉毀損の法定刑は'''3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金'''である。よって、尊師の主張を言い換えると'''「刑法を改正して名誉毀損罪の法定刑の上限を懲役15年まで引き上げろ」'''ということである。しかし、この主張は全く実効性が存在しない。 | ||
仮に刑法を改正して名誉毀損罪の法定刑を引き上げたところで、実際の刑事裁判には「量刑相場」というものが存在する<ref>判明している限りでは尊師は刑事裁判の実務経験が全くないため、量刑相場に関する状況を考慮せずに、名誉毀損の法定刑引き上げを声高に主張しているものと推測される。</ref>。よって、名誉毀損に対する実際の判決の量刑が低ければ、法改正は何の意味もない。 | 仮に刑法を改正して名誉毀損罪の法定刑を引き上げたところで、実際の刑事裁判には「量刑相場」というものが存在する<ref>判明している限りでは尊師は刑事裁判の実務経験が全くないため、量刑相場に関する状況を考慮せずに、名誉毀損の法定刑引き上げを声高に主張しているものと推測される。</ref>。よって、名誉毀損に対する実際の判決の量刑が低ければ、法改正は何の意味もない。 | ||
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インターネットの書き込み問題に対して、尊師のように実現性がきわめて低い内容の法改正を声高に主張するのではなく、後述の髙橋裕樹弁護士の主張のように、まずはプロバイダにおける対応策を、関係者・当事者の意見を確認しながら検討するのが妥当だと考えられる。今のところ、尊師がプロバイダなどと協力してインターネットにおける誹謗・中傷の問題に取り組んでいるという情報は全く存在しない<ref>尊師が正体不明の社団法人と「インターネット上の誹謗中傷を根絶すべく、総務省、法務省、文科省及び大臣に求めます」という署名活動をネット上で行っていることは確認されている。広告になるので該当のサイトへのリンクは控える。</ref>。 | インターネットの書き込み問題に対して、尊師のように実現性がきわめて低い内容の法改正を声高に主張するのではなく、後述の髙橋裕樹弁護士の主張のように、まずはプロバイダにおける対応策を、関係者・当事者の意見を確認しながら検討するのが妥当だと考えられる。今のところ、尊師がプロバイダなどと協力してインターネットにおける誹謗・中傷の問題に取り組んでいるという情報は全く存在しない<ref>尊師が正体不明の社団法人と「インターネット上の誹謗中傷を根絶すべく、総務省、法務省、文科省及び大臣に求めます」という署名活動をネット上で行っていることは確認されている。広告になるので該当のサイトへのリンクは控える。</ref>。 | ||
'''【補足2】'''ネット上の書き込みを含む表現行為に対する法律が抱える制約として、名誉毀損に認定されることの難しさがある。名誉毀損については違法性を阻却する要件が存在するためである。以下、刑法230条の条文を引用する。 | |||
(名誉毀損) | |||
第230条 | |||
'''1. 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。''' | |||
2. 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。 | |||
(公共の利害に関する場合の特例) | |||
第230条の2 | |||
'''1. 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。''' | |||
2. 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。 | |||
3. 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。 | |||
230条の2については、 | |||
'''1. 公共の利害に関する事実であること(公共性)'''<br> | |||
'''2. もっぱら公益を図る目的があること(公益性)'''<br> | |||
'''3. 摘示された事実が真実であること(真実性)'''<br> | |||
があれば、違法性は阻却される<ref>よって、当Wikiに記載されている記事は名誉毀損の違法性を阻却する3要件を全て満たしており、尊師に対する名誉毀損には該当しない。</ref>。名誉毀損については、判例についても様々な歴史的蓄積がなされている。そのため、民事・刑事を通して該当の表現が名誉毀損であると認定されるためのハードルはきわめて高い。 | |||
一方、「殺す」「爆破する」などの脅迫や威力業務妨害に該当する書き込みの立件、特に刑事事件としての立件は比較的容易である。しかし、「殺す」と類似した内容で、書き込まれた対象者に精神的苦痛を与えかねない「死んでくれ」については脅迫に該当しないとされるため、警察も全く動いてくれないという<ref>{{archive|https://www.bengo4.com/c_23/n_11458/|https://archive.vn/w60fA|ネットの中傷地獄で自殺未遂、そして出家…元女性アナ、執念で加害者を特定 「被害者の駆け込み寺つくりたい」弁護士ドットコムニュース、2020年7月11日}} | |||
</ref>。 | |||
今回の木村花に対する「中傷」についても、該当する書き込みを名誉毀損や脅迫と認定できないものが多く、尊師が主張するような刑法改正だけで対処するのは難しいのが現状である。 | |||
(中略) | (中略) | ||
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'''日刊ゲンダイDIGITAL:「表と裏」の法律知識 木村花さん襲った誹謗中傷 断ち切るには2つの法改正が必要 髙橋裕樹 弁護士(2020年5月31日)'''</br>({{Archive|https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/273906|https://archive.vn/ggx5r|該当記事へのリンク}} )</br> | '''日刊ゲンダイDIGITAL:「表と裏」の法律知識 木村花さん襲った誹謗中傷 断ち切るには2つの法改正が必要 髙橋裕樹 弁護士(2020年5月31日)'''</br>({{Archive|https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/273906|https://archive.vn/ggx5r|該当記事へのリンク}} )</br> | ||
ネット上での誹謗中傷について、'''「明らかな名誉毀損・侮辱の場合の投稿者情報の開示」'''と'''「投稿者情報の1年程度の保存の法制化・義務化」'''という具体的かつ実効的な対策を提唱する内容。いろいろと問題の多い日刊ゲンダイにしてはきわめて良質の記事である。ただし、髙橋弁護士は'''「何を以って明らかな名誉毀損とするかは難しい」'''とも指摘しており、'''言論の自由とネット上の発言規制を両立することの難しさについてもはっきりと言及している''' | ネット上での誹謗中傷について、'''「明らかな名誉毀損・侮辱の場合の投稿者情報の開示」'''と'''「投稿者情報の1年程度の保存の法制化・義務化」'''という具体的かつ実効的な対策を提唱する内容。いろいろと問題の多い日刊ゲンダイにしてはきわめて良質の記事である。ただし、髙橋弁護士は'''「何を以って明らかな名誉毀損とするかは難しい」'''とも指摘しており、'''言論の自由とネット上の発言規制を両立することの難しさについてもはっきりと言及している'''。誰にも相手にされず、SNS上でただひたすら一方的に「プロバイダ責任法ガー」「法改正ガー」「Twitter社ガー」などと発狂するどこかの無能弁護士とは大違いである。 | ||