編集の要約なし
>Ostrich 編集の要約なし |
>Ostrich 編集の要約なし |
||
291行目: | 291行目: | ||
※女性セブン2019年6月27日号 | ※女性セブン2019年6月27日号 | ||
== (耕論)芸術祭、噴き出た感情 黒瀬陽平さん、宮台真司さん、唐澤貴洋さん(朝日新聞、2019年8月10日)== | |||
''唐澤貴洋のインタビュー部分のみ記述する'' | |||
''ネット版と紙面でタイトルが異なっている、ネット版は「「政治判断優先した」「抗議だけでは」識者語る不自由展」'' | |||
{{archive|https://www.asahi.com/articles/ASM865SQ3M86UPQJ008.html|https://archive.vn/v2BIX|'''(耕論)芸術祭、噴き出た感情 黒瀬陽平さん、宮台真司さん、唐澤貴洋さん'''}} | |||
[[ファイル:朝日新聞耕論芸術祭.jpg|300px]] | |||
中止の判断 あまりに性急 | |||
唐澤 貴洋さん 弁護士 | |||
1978年生まれ。ネット上の権利侵害に詳しい。著書に「炎上弁護士」「そのツイート炎上します!」など。 | |||
今回の展示を巡る問題で事務局などに抗議電話が殺到したのは、有名人らがツイッターなどで扇動したことが大きな影響を与えています。ネット空間と現実の世界が絡み合い、あっという間に騒ぎが広がるのが最近の特徴です。 | |||
例えば朝鮮学校への補助金交付に絡んで、全国の弁護士会に弁護士の懲戒請求が出された事件がありました。交付に反対するブログが懲戒請求のひな形を示し、あおられた人たちが、事の真偽や自らの行為が違法かどうかの判断をせずに動き出しました | |||
私は7年前、インターネットの掲示板で中傷された少年の弁護を引き受けたことで、自らがネット攻撃の対象とされました。自宅の住所や家族関係がさらされ、数え切れない中傷や殺害予告を受けました。私の名をかたった爆破予告の電話が自治体にかかったり、実家の墓に私の名前がペンキでかかれたりしました。警察が数人を逮捕しましたが、今もネット上には私を中傷する文章が大量にあり事務所を訪れる不審者がいます。 | |||
加害者5人に会ったことがあります。外見は物静かな若者や青年でした。共通しているのは、孤独で自分の言い分を論理的に伝えるのが苦手だという点でした。社会に居場所を見つけられず、ネットのコミュニティーにそれを求めたというのが私の分析です。 | |||
私という「ネタ」をこき下ろす。街を歩いている姿を撮影し、ネットに上げれば仲間から称賛されます。『なぜやったのか』と問うと『すいません』と謝るだけでした。 | |||
ただ、一弁護士である私への個人攻撃と比べると、今回は幅広い人々を動かし、大きな社会的な圧力が生まれました。「慰安婦問題」という「日本人」のナショナリズムを刺激する要素があり、怒りの原動力となったのです。 | |||
河村たかし名古屋市長が「日本人の心を踏みにじる」と堂々と発言し、ナショナリズムを媒介に共感する人たちが少なからずいる。自分たちが騒げばメディアが動き、社会が動く。やっている側は達成感に満たされたことでしょう。しかし慰安婦問題に関し、資料にあたり事実関係をきちんと把握できた人が、どれだけいたかは疑問です。 | |||
実行委員会が展示を中止したのは、あまりにも性急な判断でした。大村秀章・愛知県知事は、ガソリン缶を持ち込むという脅迫があったことを明らかにしました。対応する職員が大変なのは私も経験があり、分かります。しかし警備強化などで毅然たる対応がとれなかったのでしょうか。 | |||
「表現の自由」への確固たる意志よりも、政治的判断を優先させたように思えて残念です。今回の件が、表現の自由を侵害しただけでなく、人々の歴史認識に影響を与えた点で警鐘を鳴らさざるを得ません。 (聞き手・桜井泉) | |||
== 註釈 == | == 註釈 == |