恒心文庫:面喰いじじい

本文

ドンッ。
遂に壁際まで追い詰められ逃げ道を失った山岡に、洋はその両腕を勢いよく前方へ突き出し、覆い被さるような形になった。
これは所謂最近流行りの壁ドンだ。
壁ドンなるものが流行っとるんだろう?年寄りだと思ってわしを舐めんでくれ。いや、舐めてくれ。
洋の底から沸き起こる熱情は、もはや歯止めなど無用。
逃げ出そうともがく山岡に豊満な体を力一杯密着させる。

「ひろしさ…ん…くっ苦しい…こんなところで…止めて下さい!逃がして下さい!なんでもしますから!」
「ん?今、なんでもするって言ったよね?」

ふんッ。
洋が山岡のスーツを乱暴に掴み力を込めると、それは綺麗に左右へ裂け、山岡の無駄な肉のない引き締まった肉体が暴かれた。
敢えて靴下と下着とネクタイは残すことが洋さんのささやかな拘りだ。

「やまちゃん、好きじゃよ…」

ドンッ。
瞬間、PURETRNMNは轟音と共にその姿を消した。
数日前に為された予告の通り、爆破が実行されたのだ。
崩れ落ちる事務所の中で洋は思った。やっぱりわしはイケメンが好き。

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