恒心文庫:豚夢

本文

あっ、これは夢ナリ……って分かる夢がたまにあるナリね。
夢の中で当職は電車に乗っていたナリよ。同じ車両には長谷川、しょうへい、ひろあき、当職がいたナリ。当職以外の三人は窓の外を黙って見ていたナリ。

しばらく電車に乗っていると、車内アナウンスが流れて「次はナイフでメッタ刺しにして殺す~ナイフでメッタ刺しにして殺す~」って聞こえてきたナリ。
……この車掌、なんで駅名を言わないで殺害予告してるナリか? 怖くなった当職は隣のひろあきの腕を掴んで揺すったナリが、ひろあきは当職の存在に気付いてすらいないようだったでふ
一人でぶるぶる震えていると、隣の車両から悪いものたちがたくさん現れて、長谷川としょうへいとひろあきをナイフでメッタ刺しにして殺したナリよ……
次は当職ナリか? 次は当職もこんなふうに血みどろの肉塊になってしまうナリか……恐怖で身が震える。

電車が停止したナリ。もうすぐ悪いものたちが来る。しかし、電車は停車したまま全く動かなくなってしまったナリ。
おそるおそる外を見ると、そこはちばけんまの最寄り駅だったナリよ。こんなふざけた電車には乗ってられんナリから当職はそこで下車したんですを
はー怖かったナリ~と深呼吸したとき当職は目が覚めて、あっ現実に帰ってこれた! ってほっとしたんでふ

……

「からさん、その夢はもう見ちゃダメです」
山岡は神妙な顔でからさんをじっと見つめた。
「なんでナリか」
あっけらかんとしているからさんに、山本が言う。
「……いや、それって有名な猿夢ってやつじゃないっすか。次にその夢見たら心臓麻痺で死ぬんすよ。目が覚める直前、次はお前だとか次は絶対逃さねーとか言われてないんすか」
「言われてないナリ。長谷川とひろあきとしょうへいの三人は死んじゃったけど、当職は無事生き残ったナリから、とてもスリリングで楽しい夢だったナリ」

山岡と山本はからさんをグーで殴った

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