恒心文庫:独房

本文

外患罪で逮捕され死刑判決を受けてしまった当職は死刑囚専用の独房にぶち込まれていた
それにしても空気が悪い
空調は聞いているのだろうか
甘いような大便のような臭いが辺りを漂ってるのだ
さらに時々「あぅ~」や「うぅやぁ」と言ったガイジ染みた声も聞こえてくる
当職は不安だった
世界一安全な場所である日本の刑務所でまさか身の危険を感じるだなんて思ってもいなかった
なのでささやかな抵抗としてこっちも大便を撒き「あぅ~」や「うぅやぁ」と言った言葉で相手にも嫌な思いをさせてやる事にした
するとどうだろう
「誰か居るのか?」
異臭と奇声で気がついたのだろうか
どこからか男の声が聞こえた
どうやら隣の部屋かららしい
「⚫️はい」
黙っていようかと思ったが返事をしてみた
すると男は語り出した
男はとある宗教団体の教祖でありテロを計画主導実行し結果死刑判決を受けてしまいここにぶち込まれたらしい 当職と同じだ
男はどうやらガイジのフリをしているらしい
理由を問うとここにいれば衣食住保証されるとのこと
なるほど、今も昔も日本は不景気だ
たしかにシャバもムショも一長一短
ここでの暮らしも悪くないかもしれない
言われてみれば当職はシャバでは朝昼晩ずっと寝ていた
やれやれ、まぁ、慣れるとしようかな
そういうと当職は横になりグースカ昼寝を始めた
もしかしたら当職にとってムショも悪いものではないのではないか
隣の男とも気が合い意気投合したし話し相手には困らない
三食ご飯はおいしいし稀に洋や山岡くんが面会に差し入れを持ってきてくれる
ロリドルなどいくらでも妄想できる
住めば都、ただ欲を言えば刺身と焼酎が欲しいなぁと、当職はボンヤリと考えていた

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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