恒心文庫:激突

本文

部屋の中に粘着質な水音と男の嬌声が響く。
陰茎を雄膣で咥えこんだ唐澤貴洋(41)が僕の上で腹肉を揺らしながらうごめいている。
自身の贅肉に阻まれ上手く体を動かせずもどかしそうにしている姿が,
無様で滑稽で、そして何より愛おしい。
彼の腕を引くとむっちりとした体が倒れこんできた。
互いの汗がまじりあい熱にとかされ二人の境界はなくなった。まんじりともせず規則的な鼓動を耳に焼き付ける。
しばらくすると唐澤貴洋(41)の淫乱な体は奥底から湧き上がる疼きにたえかねたのか、
尻を持ち上げ振り下ろす動きによって快感を貪り始めた。
「あっ…もうダメェ!イッちゃうナリィ!」
2人の下半身が激突とでもいうべき衝撃を持ってぶつかり合う。
僕は腸液で濡れそぼった胎内に精液を放出し、
唐澤貴洋(41)は親指ほどの小さなポークビッツから透明なカウパー汁を漏らし、互いに絶頂した。
 *
「腰椎が折れています。全治8週間ですね」
僕は真っ白な天井をぼやけた視界で受け止めた。
下半身がギプスで固定され起き上がる事も許されないまま、清潔な寝台に横たわっている。
じっとしているとカーテンの隙間からオレンジの光が差してきた。
時刻を確認しようとあたりを見回すと、自分の携帯電話が目に留まる。
だるい腕を動かしそれをつかみ上げた瞬間、着信音が鳴った。

『当職のせいで骨折させてしまったナリ。許してほしいナリ』
電話口の唐澤貴洋(41)の声はしゅんとしていた。
普段は傲慢で謝るという事を知らない男が、である。
まさか尻を振り下ろした一撃で他人の骨を折るなどとは思ってもいなかったのだろう。
「いいんですよ。僕も気持ちよかったので。またして下さいね。約束ですよ」
『●はい』
 またあの遊戯にふけるのが楽しみで仕方ない。
唐澤貴洋(41)の声をよそに淫靡な空想の泥に沈み込んでいく僕は3つの突起をビンビンに隆起させた。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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