恒心文庫:海の幸

本文

海辺にて洋は産卵の準備をしていた
砂浜に穴を掘りその上にお腹を乗せお尻をクイッと上げる
今まさに新たな生命が誕生しようとしていた
洋は眼から涙をポロポロと流し陰部からも卵をポロポロと落とす
そうそれはまるで宝石の様
卵はいずれ孵化しかわいい子洋が産まれることだろう

この卵は非常に美味であり 天ぷらにすれば絶品なのだ
さっそく衣をつけ油で揚げる
洋は激しく泣き叫び抵抗してきたが屈強な黒服達には敵うはずもなく叩きのめされる
この洋自体もなかなかの珍味でありたっぷりのお湯で煮込むとおいしいスープが出来上がるのでそうする
洋の卵の天ぷらも洋のスープも極上の逸品だ

珍味は三種と決まっているように洋も卵と本体以外にもおいしく召し上がれる部分がある
それは頭から生えている海藻だ
この白い海藻はサラダにしても酢和えにしてもさっぱりとしていて中々のものだ
ただ〆てから毟らないとこの世の終わりを連想する洋の悲鳴を聞く事になるので注意したい
今回は試しに生きたまま引きちぎってみたが
確かに常人なら気絶するであろう絶叫であった
ただ私は普段から悲鳴だの雄叫びだのに慣れていたのでこの程度効く訳が無い

こうして美食家である私の晩餐が完成する
稀に大金をかけ希少な料理を食するのが楽しみなのだ
毎日人間ばかり食べているとたまには海の幸も堪能したくなる
その分この洋料理はまさにうってつけである
天ぷらも洋肉も白い海藻もどれも私の舌を喜ばせる
完食と共に私は多幸福に包まれ無意識に射精したのであった

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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