恒心文庫:浄化の日

本文

公認会計士・唐澤洋
あの怪物・河野一英を義理の父に持ち、当人も海原会に所属している東芝づとめの正真正銘のエリートである
しかし不肖の息子・貴洋がネットで炎上して以来、彼も息子と同じかそれ以上の誹謗中傷を受けることになる
プチエンジェル事件はもとより、彼が妊婦であることを男たちは嗤い、事件が起こるたび毎回懐妊してるとさえ言われている
しまいには腹に原料を入れてそこから食品を加工しているという根も葉もない噂まで立てられてしまう
しかしその突拍子のない噂は事実で、彼が貴洋を産んで以来子宝に恵まれておらず、流産した胎児は血族限定で料理として振る舞われていたことさえある




東京都港区六本木
街中に女人禁制と書かれた張り紙があり、通りには屋台が並んでいた
看板にはリンゴ飴、焼きとうもろこし、ニラ玉などの文字が並んでいたが、これから行われる儀式を見るため店員は既に出払っており客も姿を消していた
人々は天高くそびえる石碑、教徒にとっての新たなメッカに向かっていた

真六本木ヒルズサティアン(旧高會堂ビル)
尊師貴洋が脱糞の河で周囲を焼け野原にし、跡地に聖母洋がこれまで会計士業で貯めた私財をなげうって作った高さ2783mの摩天楼である
サティアン前の広場には既に伝説の儀式を一目見ようとしている参拝客の男たちで賑わっていた
演目に書かれている催し物も全て終わり、残すは尊師・唐澤貴洋の神楽を残すのみであった
褌一丁の貴洋が前に出て来る
教徒たちはその穢れに満ちた脂肪と糞の塊を見て神聖六文字を唱え続けた
両脇にあるスピーカーから音楽が流れる
今や教徒の間ではお馴染みとなった「ME!ME!ME!」
それに合わせて貴洋はその腹と尻を揺らし腰を振る
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
締めに入るやいなや十八番の絶叫腰振り脱糞も披露しつつ、ブリッヂの体制で動きを止める
己の出した糞便と脂汗にまみれてテカテカになった男は薄気味悪く微笑んでいた

「これにて本日のイニシエーションは全て終了となります。ご来場いただき誠にありがとうございました。」
アナウンスが鳴り響くが、帰ろうとするものはほんの少数
尊師を一目見たかっただけのもの、あの神楽を儀式と勘違いしたものなど様々である
しかしこれはあくまで前夜祭、本当の儀式はこれからであることを彼らは知らなかったのだ

時計が零時を回る
するとサティアンから白い死装束に紙袋をかぶった男たちが現れる
それに合わせてここに残った大勢の教徒もそれぞれ紙袋など顔を隠すものを被る
続いて尊師と同じく腹をでっぷりさせて褌一丁に身を包んだ白いモミアゲの老人が現れる
彼女、いや彼こそが恒心教聖母であり貴洋を産んだ唐澤洋氏そのものである
スネ毛だらけの太い足でしゃなり、しゃなりと歩くその姿は、一歩地を踏みしめるたびにそこにいる教徒たちの心をざわつかせ、その股間を膨らませた
これから行われるのはこの全ての教徒を相手にした種付けセックスである
洋がふんどしのヒモに手をかけ、はらりと脱ぎ捨てる
カウパーと腸液で地面に二本の細いドロリとした架け橋ができる
その奥にはビンビンになった魔羅がピクンピクンと挨拶をするように震えていた
四つん這いになり教徒たちに尻を向け、ひざまづいた白装束の男が口元にマイクを向ける
「この度は当サティアンにお越しいただきありがとうございます。これから行われるのは私の肛門にあなた方教徒の子種を溜め、新たに生み直しを行う、いわば再誕の儀式です。」
一部教徒がざわつく
既に過去この儀式を見てきたものもいるが、当然初めて目にするものもいたため、彼らには再誕という言葉にはピンとこなかった
それを気にすることなく聖母は言葉を綴り、両手で肛門を拡げる
「集まっていただいた皆様が男性であるのもそのためです。どうか皆様、この私に子種を捧げ新たな……」
「ふんっ!」
「いのチィッ!!」
言葉をいい切る前にもうひとりの白装束の男が魔羅を突き刺した!
口からよだれと喘ぎ声を吐く雌豚をよそに、男の方にマイクが向けられ言葉を綴る
「このメスを使う際に注意事項があります。決してこの紙袋を脱いではいけません。」
バチン!バチン!と尻を叩きお留守になっている聖母の魔羅をしごきながら言葉を続ける
「この袋はいわば姿を不可視にするため。この種付け作業は最後に用意された男の顔を認識することで完了を迎えます。」
「い…いのちを…っうむっ!う゛まれりゅっ!お゛っ」
「一番最後に選ばれたオスが、この白モミ肉便器の正式な種馬となります。一晩中に事を済ませたいので今のうちに決めておいてください。」
言い切ると同時に男はピストンの速度を早める
ばちゅんばちゅんと腰の打ち付けられる音が響き、その他所で順番ぎめが行われる
栄誉ある種馬の座を、リピーターの者たちは避けるかのように順番に並び始める
「オおぉぉぉぉぉぉぉっお゛~~~~~~っ!!」
初参加の男たちがじゃんけんをする中、聖母の嬌声が響き渡る
見ると白装束の男は既に精を出し切っており、魔羅をしまうと同時にサティアンの方に戻っていった

それからは洋のケツマンコを求めて大勢の男が群がり始める
各々が好きな体位で洋のケツを犯し、魔羅をしごき、精を放出する
中には警棒やお茶入りペットボトルなど異物を挿入して楽しむものも現れる
熟練したものは紙袋の下から器用に口だけだして顔が見えないようにディープキスを行うものまでいた
横でブリッヂのままの尊師を犯そうとするものも現れたが、白装束の男たちにしばかれ、傷だらけのまま洋を犯す
「痛かったか?でももう大丈夫じゃ。わしのケツマンコを犯して存分に癒やされておくれ。よし、よし。」
ボコボコにされた男を慰めるように洋は抱きしめ、背中についた痣を撫でる
興奮した男は泣き叫びながら腰を強く振り、二回も男汁を出した
男の半数以上が精を出し終えると、種馬競争に敗れた男たちが洋をボコボコにしながら乱暴にケツを犯す
「この!肉便器が!せっかくこいつをモノにできると思ったのによ!孕め!この売女!淫売!腐生会計士!」
「オぐっ!やめるのじゃあ、また次もあるからぁ、今はこれで我慢して欲しいのじゃあ……。」
恨み節を吐きながら男たちは洋に精を注ぎ込む
一部紙袋を脱いで抜け駆けしようとするものも現れたが、白装束の男が即座に首を刀で切り捨て、残った肉塊を総出で掃除した

ほとんどの男が精を吐き終えると、最後に残った男が近づいてくる
紙袋を脱ぎ捨てると、先程のリンゴ飴屋台の店主である、元スイーツ店勤めの屈強な男性であった
「お前の息子のせいで俺の店は食中毒だどうだといらん噂が立ったんだ。実質お前のせいで店が潰れたんだ!えぇ?俺がお前の夫となってその権力で好き放題してやるよ。」
「それは申し訳ないことをしたのお。すぐ貴洋と一緒にしてかわいがってあげるからの。」
「はぁ?お前何を言って……」

言い終わる前にその言葉は途切れることになる
突如人の頭より大きく口を開けた洋が彼の頭を食いちぎったのだ!
「全部、全部貴洋と混ざって一緒にして、い~~~っぱい、可愛がってあげるからのぉ。」
咀嚼しながら、物言わぬ死体となった男にささやき、残りの体を貪り始める
突如起こった聖母の蛮行にうろたえた男たちは泣き叫び右往左往する
その場から逃げ出すものもいれば、聖母を殺そうとするものまで現れる
しかし落ち着いた様子を見せる経験者たちはそっと、まだブリッヂしていた糞だらけの無能デブの方を指差す
すると、一斉にナイフや鉄パイプなどを持ち出して貴洋をメッタ刺しにし始めたではないか!
貴洋は苦痛に顔を歪めながらもブリッヂの体勢を崩すことなく事切れ、無事死亡した
それを聖母や白装束の男は咎めず、ただそれぞれの役割を粛々と果たしていた
聖母が種馬を食べ終わると、今度は貴洋の睾丸をちぎり口に含んだ後飲み下す
すると今まで精でパンパンに膨れたお腹はより一層張ってきて、睾丸も人二人分の大きさにまで膨れ上がる
一方貴洋の体は睾丸を取られた瞬間みるみると別人の姿に変わっていく
この儀式は種馬の男と尊師の魂をかけ合わせて産み直すというものであった
己を無能と自覚し始め鬱に陥り、魂が穢れてしまった尊師を産み直すことで、元の世の中をナメくさった元気ハツラツのクソデブに戻すためである
まず種馬となった男の肉塊は数多の男の精と混ざり合い、聖母の片方の睾丸に移る
もう片方の睾丸には尊師の魂が入り、それぞれが尿道で合わさることで新しい貴洋が産まれるのである




この儀式の起源は、かつて尊師と呼ばれる男が中学の時代にまで遡る
仕事から帰り、妻の厚子がクリチンポで洋を犯しているときにそれは起きた
突如ボロボロになった息子二人が家に帰ってきたのである
正確には不良グループにリンチされて物言わぬ姿となった貴洋を、同じくボロボロになった厚史が抱えて来たのだ
行為を途中で終えた夫妻はこの惨状にただひたすら涙した
ちゃんと親として彼らを見守ってやれば救えたかもしれない命を一つ失ってしまったのである
あるいはこのままだとふたりとも消えてしまうかもしれない、そんな中厚史が口を開く
「僕を……食べてください。僕の体を使って、兄さんを産み直してください……。」
何を言い出すんだ!と憤慨する洋であったが厚史の口は止まらなかった
「僕がいけないんだ…!僕が不良にパー券売ってこいと言われたときに兄さんにも半分押し付けたのが……!」
泣きじゃぐりながら洋に顔を向ける厚史
「僕を食べてください。そして今度こそ、僕たちを、兄さんを幸せにしてあげてください」




「私の中にはいつも弟がいます。」
貴洋のこの発言は紛れもない事実であり、今も弟の血肉が彼のブ厚い脂肪の中で流れている
彼が平然とがん患者や震災ビジネス被害者その他を見捨てる中、家族だけはやたらと強調するのもこの弟の文字通り命を張った物語があるからだ
洋が食品会社に協力をするのも、その羊水を腐らせず、常に活性化させるためであった
尊師は産まれてもなお、日々様々な人から憂い目にあい、心が壊れていった
その度に適度な種馬を見つけて産み直し、貴洋の心をリセットする
親友の会計士の協力もあり、今はこうして堂々と生贄を手に貴洋を産み直すことができるようになった
チンコ顔の青年が種馬に選ばれて行方をくらましてるとも言うが、これはまた別の話である

――いつか自分が亡くなったら?
もう二度と貴洋を産み直すことができなくなったら?
そのことはできるだけ考えないようにしていた
そのかわり、生きてる今は厚史の遺言どおりに、精一杯貴洋のことを愛してやろうではないか




空が青くなってくる
太陽がちょうど真六本木ヒルズの麓から登るため、太陽を睾丸に見立てると巨大な男根に見えた
「あ……あぁ……」
聖母が口をあんぐりさせながらガニ股で地べたにたつ
もうすぐ新しい貴洋が産まれるのだ
新しく産まれたら大好きなアイスを買って、クロスのみんなで食べよう
貴洋がいじめられたらまた抱きしめてあげよう
聖母の魔羅の鈴口がガバっと開くと同時に人の姿をした汚物が飛び出てきた!
「でりゅ!!!!!!!!!!!!!!!!!でりゅよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
精と共に貴洋を産み、貴洋もまた産声を上げながら脱糞をし、この世に再び生を受けたのだ
産まれたと同時に教徒たちは一斉に罵声を投げかけ、同時に新たな尊師の誕生に拍手を喝采させていた




真六本木ヒルズ最上階
モニターに映し出されている出産の瞬間を、先程一番最初に種付けした男が見届けていた
テーブルには食べ終えたニラとベビーコーン入りベジ牛丼の空の器が乗っていた
男は紙袋を脱ぎ捨て、スーツに着替えると渋谷にある自宅へと帰るべく身支度を整えた
男の名は森公高
洋の担当している東芝の不正会計を暴くなどその界隈では犬猿の仲扱いされているライバルである
個人的な私怨もあり、常に彼は洋に狙いをつけて嫌がらせをし続けて、今ではとっくに立場を追い越していた
しかし、儀式の種馬を見立てて欲しいと言われた時、少しだけ嬉しかったのだ
お互いの因縁を抜きにして相談を持ちかけてくれた時、洋に奇妙な友情さえ感じたのだ

――でも、自分を種馬にはしてくれないのか?
彼はもう一度モニターをちらりと見た
紙袋を脱ぎ捨て再誕を心から喜ぶ無精髭の男と、汚物を嫌々掃除する日本刀の男
そして親子二人で抱き合う貴洋と洋の姿
その姿を嬉しそうに、少し恨めしそうに見ながらその場を後にする

リンク