恒心文庫:息子の息子、ジョキっw

本文

「洋さんの息子の息子が切断されたってマジ?」
誰ともなくつぶやかれたその言葉に、人々は居ても立ってもいられなくなった。
虎ノ門の事務所を構える士業を営む男性が、痴情のもつれが原因で事件に巻き込まれたという、衝撃的なニュース。瞬く間に虎ノ門を駆け巡ったその書き出しを目にして、ふくよかな輪郭が、蠱惑的なアヒル口が、ふわふわとした揉み上げが皆の脳裏を駆け巡る。
【ちんぽこ】うおおおおおおおおおおおおおおおおお
耐えきれず悲壮な満面の笑みを浮かべた男性が叫び声を上げて立ち上がる。ペンだこの出来た握りこぶしをぶるぶる震わせ、天を仰ぎ、足をダンダカ踏み鳴らす。それを皮切りに彼を慕っている人々の思いが全国各地で溢れ出す。
気づいたら、彼らは走り出していた。照りつける太陽の下、灰色の地面を革靴で駆け抜けていく。息が上がり、汗が散る。しかし足は止まらない。国道を抜け野を抜け山を抜け、泥と汗で汚れたシャツがはだける。枝葉がベルトに引っかかり、スラックスを巻き取って行く。半ば倒れこみながらも手足をつかって前へ前へと走る。
もはや執念である。何が彼らを突き動かすのか。彼らは彼らの体を包んでいた立派なスーツのために動くのではない。社会的ステータスのために動くのではない。もはや裸一貫となった彼らに残されているのは、ただ一つの心意気である。
『世界中があなたの敵になっても、ただ一人の味方になる。』
彼らはただ一人の人間として駆けつけているのだ。一匹狼の群れとして、ただ息の続く限り走るのだ。
『洋さん』
心よりつぶやかれた言葉が響く。
『『『洋さん』』』
一人の男の名前が、幾重にも重なって唱和される。
辺りを包み込んでいく。
『『『『『洋さん』』』』』
日本全国、世界各国から集まった裸の群れが、虎ノ門を中心にして渦巻く。渦の中心で、チンピラみたいな顔をした男がチンピラみたいに叫ぶ。
「洋さん、おどりゃあ!」
突然蹴り破られたドアに驚き、洋は椅子から転がり落ちる。
「な、なんじゃあ」
そうしている間に裸の男達が開け放たれたドアから流れ込み、床でのたうつ洋を取り囲む。手足で床をかいて逃げ出そうとする洋を、屈強な手足が押さえつけ、担ぎ上げていく。
「ヒロシサン!」
某弁護士のイラストに良く似た男が、洋のベルトに手をかけズリ下ろす。勢い良く飛び出る皮かむりおちんちんに、洋の顔が真っ赤にそまる。しかし恥じらっていても事態は変わらないのだ。洋の幅広ズボンをずり下ろした勢いのまま、男は洋のおちんちんに手を添えて皮を剥く。
するとなんたることか、洋のおちんちんの先、皮で隠れた内側からもう一本、一回り小さいおちんちんが飛び出して来たではないか!うっすらと濡れた鈴口、その上端から蒸れたおちんちんが切なげにぷるぷると震えているではないか!皮を剥かれた刺激の為か、多くの人間の目に晒された恥じらいの為か、洋は顔を真っ赤にして全身を震わせ叫ぶ。
「でりゅ、でりゅよ!」
そうして散った若い雪をタパタパと浴びて、世界は笑顔に包まれた。

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