恒心文庫:唐澤洋さんが草野球でキャッチャーをやっていた。

本文

唐澤洋さんが草野球でキャッチャーをやっていた。ミットも持たず素手でグラウンドにいた。
まさか素手で捕るのかと思って僕は見ていた。洋さんはサインが決まるとなぜか後ろを向いた。
ミットを忘れたのに気づいてベンチに取りに行くのかと思った。でもそれは僕の勘違い。
そのままピッチャーが投げる体勢になった。洋さんはゆるっゆるのアナルをピッチャーの方へ向けた。
アナルはくぱっと大きく開いていた。ストライクゾーンの9分の1くらいの面積はあったんじゃないかな。
ピッチャーが投げた球はバットをすり抜けて洋さんの元へ飛び込んだ。ばぬちょん。いい音がした。
プレイボールからまだ3分も経っていないのにぴりぴりとした緊張感がそこには漂っていた。
洋さんにはミットはいらない。むしろミットなんてない方がいいんだ。僕はまた少し大人になった気がした。
しかし僕がそう悟ったとき洋さんはもうグラウンドにはいなかった。洋さんそういえば下に何も履いてなかったっけ。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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