恒心文庫:兄と弟

本文


とある日の唐澤家

厚史「よし‥誰もいないね」唐澤貴洋の弟、唐澤厚史
彼は今こっそりと兄の部屋に入っている、「よし、あったあった」彼はそう言ってベットの上にあるシャツを取った。兄はいつも着たシャツをそのまま部屋のどこかにそのまま置いてしまう、その後片付けをするのはいつも母か厚史なのだが、厚史はその前に兄の匂いを堪能してから洗濯機に入れるのだ、まず彼は兄の服を隅から隅まで、これ以上ない程に匂いを嗅ぐ、「ハァ‥ハァ‥」厚史は匂いを嗅ぐのをやめその場に座った
そして兄のシャツをずっと見つめる。「少しぐらいなら着ても‥バレないよね」彼は自分が着ていた服を脱ぎ、そして兄のシャツを着た。その瞬間彼はまるで兄と合体したかのような高揚感に襲われ、一気に気持ちよくなった、そして彼は夢中になった、大好きな兄と合わさったかのようなこの感覚は、彼が14年生きてきた中で経験した事のない、まるで薬物でも使ったかの様な気持ちよさだったのだ、しかし彼は夢中になりすぎて気づかなかった‥兄がちょうど帰る時間だという事に
「兄のシャツ着て何してるナリか」突然の声が彼を快楽の世界から引き離した、「な、何もしてないよ」
咄嗟にそう答えたがもう遅かった、彼は急いでシャツを脱ぐと自分が着ていた服を持ってそのまま部屋に引きこもった
兄貴洋15、弟厚史14の時の事である

この作品について

作者によると下記の芸術教徒のイラストが[1]すべての基点[2]だったとのこと。

挿絵

リンク・註釈