恒心文庫:ポケモンGO路線の末路

本文

世界中で社会現象になりつつあるポケモンGOが、日本向けにも公開された後の話。

多くの人がポケモンを探して街を練り歩き、社会現象は社会問題と呼ばれるようになった。

そして事件は起こるのだ。



「オランダヒルズ森タワーRoPの7階にレアなポケモンが出現する」

とある掲示板に書き込まれたその文章に、沢山の人が沸き立った。
ある者は学校を休み、ある者は有給をとり、ある者は脱糞しながら、その場所へと突撃した。

レアなポケモンを持つことはステータスである。
実生活の全てをなげうってでも、手に入れる必要があった。

そして。

「いたぞ!カビゴンだ!」

ただの小太りの男にしか見えないのに、彼らの目にはカビゴンに見える。

「こっちはフーディンだ!」

ただの細身の男にしか見えないのに、彼らの目にはフーディンに見える。

我先にと群がる中、揉みくちゃにされた小太りの男のズボンが脱げる。中身が露わになる。

「おい!タマタマとディグダがいるぜ!!!」

「こっちはタマタマとイワークだ!」

「こいつらのイワヤマトンネルに俺のつのドリルを食らわせてえぜ!」

「俺にもやらせろ!!!」

男たちの興味は移ってしまった。
ポケモンGOよりポコチンGOだとばかりに男たちの身体を貪る男たち。
気がつけば部屋の中はミックスオレだらけになり、小太りの男と細身の男がひんしになり倒れているだけになった。

「な、山本くん。私の言う通りで上手くいっただろう?」

「ありがとうございます会長。おかげさまで…」

「もう会長じゃあないがね。まあいい。あとは頼むよ」

「●はい。」

山本と呼ばれた男はパソコンに向き直ると、部屋の惨状を納めた写真をインターネットに流す。
唐澤洋会計士事務所がいかに酷いかを説明した文章と共に。

「それが終われば、あの事務所は君のものモリ」

囁くその声は、悪魔のそれか。
しかし山本にとってはどうでもいい。

自分の名前を冠した事務所を持つこともまた、ステータスなのだ。
ステータスは人を狂わせる…と思いながら飲み干したおいしい水は、口内に広がる苦みを消し去ってくれた。



終わり

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