恒心文庫:見次第殺殺殺

2020年1月11日 (土) 00:56時点における>植物製造器による版 (ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> やっと終わった。 やっと終わったのだ。 当職の邪魔をした、"奴"の頭を取ることが出来たのだ。 "奴"は…」)
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本文

やっと終わった。
やっと終わったのだ。
当職の邪魔をした、"奴"の頭を取ることが出来たのだ。
"奴"は、当職の何度も殺害した。念の為、クローンにしておいたから良かったものを。
当職の夢を、途絶えさせた。その罪は大きい。

ふと人影が見えた。
「こんにちは、無能弁護士さん」
僅かな艷と共に、当職を挑発する。
馬鹿な、そんなはずはない。目の前にいるのは、"奴"だ。
「ナリ?」
首が縦になりそうなのをグッと堪え、ナイフを取り出した。
月が向かい合う二人を照らす。二人の目には、輝きがなく、ただ、殺意と狂気のみが存在する。

"奴"は、"奴"の首なし人形を糸で吊らした。そうだったのか。当職は、こんな小細工に騙されてしまったのか。
「残念、トリックだよ」
ナイフを持つ手を震わせる。持っていた、"奴"の頭を後方に飛ばす。
"奴"は少し首を曲げた。その隙を当職は見逃さない。ナイフを前に持ち、"奴"に向かい突進した。
"奴"は体を僅か数十度ほど曲げて避けた。当職を見て、常識から逸脱した微笑みを浮かべている。
「結局、あなたは無能ね」
あっという間に当職の腕を掴んだ。当職の目にも、"奴"の目にも、そこに正気はない。
隙を突いて"奴"の体から抜けた。"奴"はニヤリと笑い、背後を見せた。"奴"は強いが、隙だらけじゃないか。当職は二本目のナイフを持ち、"奴"に
ナイフを突き立てようとしたその時だった。
後ろにいた人形が、当職の左足を掴んだ。そしてできてしまった隙を、"奴"は見逃さなかった。当職の首にナイフを当てた。
その後、"奴"は、何もかも終わったという心持ちで、ただ立っていた。その様子を、当職の"本体"は、ビルの上から、じっくりと観戦していた。
「教えてやるナリ。これが本当の弁護士バッヂナリよ」

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