恒心文庫:火星農家と夜の土

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本文

火星でのサバイバル体験からもう3年が経った。アレス4のMAVが出発し、僕が散々に荒らしたスキャパレリ・クレーターに再び物資とあの不毛の星からの脱出装置、そして燃料を運んでいる間に僕は東洋の日本という島国に来ていた。
ここで僕はたった3000万円で小惑星探査機を作り、そして実際にサンプルを持ち帰ってこさせたクレイジーなJAXAの開発者たちと面会し、
一般人を交えて公演を行い、
そして日本の様々な文化(ジャパニーズディスコを除く)を堪能することになっている。
しかし、僕にはさらにもう1つ目的があった。風の噂によれば、東京港区の三田にはかつての僕と同じように「夜の土」(とは言うが、実際にはただの糞だ)で生計を立てている人間がいるらしい。これは実に興味深いことだ。
なにせ、糞だけで生計を立てるというのはまともな考えを持っていればまず不可能で、その常識を打ち破るのが誰であるのか、というのは誰もが気になることだろう。
(それに、もし「火星産ジャガイモに使われた肥料」という名目で僕の糞が売れたのなら生活の足しになってくれるだろうし。)
という訳で、予定が入っていない日に早速行ってみることにした。
事前にアポを取っていたおかげでスムーズに彼と面会することができた。小太りの彼は元弁護士で、炎上して仕事がなくなってから得意の脱糞で稼ぐ事を思いついたらしい。
「折角アメリカから来てくださったのですから、肥料の補充シーンをお見せしましょうか?」
正直言って私のような鍛えられた宇宙飛行士とは比べ物にならないほどだらしない身体をした彼のケツから糞が漏れる所など金を貰っても見たくないが、彼の善意を無下にする訳にも行かず、仕方なく鑑賞することになった。
彼はズボンを下ろしケツを出すとそれを「弁護士から出てきた!頭の良くなる夜の土」と書かれたビニール袋に突っ込んだ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!)」
2度と聞きたくない音と共にビニール袋の中に茶色が満ちた。
「ふう、相変わらずこの瞬間が快感ですよ。これで後は袋の口を閉じて出荷するだけです。」
「しかし、いくら原価なしの肥料とはいえ冬などは売れずに金も稼げないでしょう。そういう時はどうするのです?」
僕は1番聞きたかったことを聞いてみた。それに対する回答は、一生僕の頭から離れないだろう。
「なに、この商品は私から出てきた栄養のあるものです。それを食べればいい話ですよ。」
この瞬間、僕は2度と糞で生計を立てようなんて思わないことを誓った。

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