恒心文庫:月永皓瑛「僕の大嫌いな人」

2022年2月18日 (金) 18:30時点における>チー二ョによる版

本文

親父「またやらせておくれよ。君のお尻は名器なんだからさ」フキフキハイ5万円
月永「はい...」
僕は月永皓瑛、1993年生まれの反出生主義者だ。今はご覧の通りフリーの男娼をしながら
糊口を凌いでいる。
月永「ああっ...痛い...」
尻が今だにズキズキ痛む。

本来ならセックスなんて出生に寄与する事は大嫌いだ。けど男同士なら問題ないし金を稼ぐ為には仕方なかった。
僕はとりあえずコンビニへと向かう。おにぎりと唐揚げと野菜を買う為だ。
僕は反出生を掲げているが死にたくはなかった。時々自分を産んでくれた親を憎む事はあれど死ぬ勇気すらなかった。
ギャル「何見とんじゃガングロブサイク!!」
ガングロブサイク「うっさいんじゃボケェ!!」

また底辺どもの言い争いか...よく見ればコンビニの前にギャルと萎びた陰茎に似た、日焼け顔の醜悪な男が喧嘩していた。
ガングロブサイク「ワイはなお前みたいなのよりずっとええ女抱いてきたんや。まあお前も1万出したらワイと寝てもええで。ワイに抱かれる事を光栄に思え」
ギャル「なにコイツ...キモいんですけど...」
男の異様な雰囲気に女性として危機感を覚えたのだろう、ギャルはその場から立ち去った。
ガングロブサイク「またワイの勝ちや。もうギャルなんて怖くないじゃん」

月永「あの~コンビニ入るんでどいてもらっていいすか?」
ガングロブサイク「すまんなワイ男長谷川亮太。人が嫌な思いする事はせんのや」
男は右腕を突き出しガッツポーズを取る。
長谷川亮太...思い出した。昔僕がヲチ対象とし有名になる為に付き纏っていた弁護士、こいつはその依頼人だ。

長谷川亮太「あんさんどうしたんや顔色悪いで?」
こいつもネットの世界ではそこそこの有名人。利用すればこの男娼生活からおさらば出来るかもしれない。そして僕の思想...反出生主義の会社をまた再び立ち上げるんだ

月永「ねえ長谷川さん...僕の名前は月永皓瑛...男娼やってんだけど1時間5万で遊ばないかい...?」
長谷川「遊び?...ようしわかった二人でAV買いに行くで!!」
月永「えっ...ちょっと長谷川さ..」

何だが誤解された様だ。長谷川の手に惹かれAV販売店に僕らは吸い込まれた。
長谷川「これがたまんねぇんだ!母子相姦モノ。熟れた母親(34)を息子(20)が犯すんや。そして最後には孕ませてしまうんや」
「これは兄妹モノや。昭和時代をコンセプトした物語で、年が離れた兄妹がセックスしてしまう話や。妹はラストシーンで兄貴の子供を産むんや」
「これは監禁出産モノや。中学生を誘拐して孕ませて、拘束して公開出産させるんや」

不愉快だった。どれも妊娠・出産をテーマにしたものだからだ。強姦・近親相姦・不貞どれもタブーとされてきたものだ。それと命を作り出すという行為は、望まれない存在を作るのと同じだ。吐き気がするしむかっときた。

月永「長谷川さんAVも良いけど他のお店も僕見たいな...」
長谷川「そうか...せやピンサロ行くで~」
また長谷川は僕の手を取り無理矢理怪しげな場所へと案内して行く。
着いたのはライトで派手に装飾され、女性の広告があちこちに貼られているいかがわしい店だった。

長谷川「ワイはフェラしてもらうんや。月永はんは足コキ?それとも手コキか?」
月永「いや僕は遠慮しとくよ...」
長谷川「何言ってんのや月永はん。人生何事にも楽しまないかん。金は渡すから楽しむんや」
月永「う、うん」
僕は長谷川に奢ってもらい嬢と遊びを行う事となった。正直嫌だけど。

嬢「月永さんはこのお店始めてなの?」
月永「う...うんそうだよ」
嬢「じゃあ初回サービスで一番特上のお酒を用意してあげる。もちろんただだよ」
嬢が酒を注いでくれる。あんまり好きじゃないけど人の行為を無下にする訳にもいかず、一杯、二杯と飲んでしまう。

その内に酔いで気が大きくなったのか、僕は嬢に思わず過去の話を語ってしまう。
月永「俺さ、昔社長してた。なまらけっぱってたんよ。でも、はんかくさい弁護士にだまされておわっだがな。そんにしてもおめきりょーよしやな」
嬢「は、はぁ...?」

長谷川「どったんや月永はん。ワイもう終わったからこれから一緒に飯食いに行くで...」
月永「おうよ...ああ、あたまやむなあ」
それから何時間も歩いて飯屋に着く。そのうちに酔いもある程度覚めていた。
長谷川「大丈夫か月永はん?飯屋に着いたで」
月永「あ、ああ、大丈夫だよ」

長谷川「コンビニ弁当しか食わない様な生活やからそんなフラフラになるんやで。精力あるもの食わんとな...」
長谷川と僕は越後屋という飯屋に足を運んだ。
長谷川「ここの店の蕎麦は美味いんや。ワイなんて夢中になって食べとったら咳き込んで死にかけたんや」

マンコー「経営不振なんだよね」
陰気でオメコ頭の店員が運んできた蕎麦を食べる。
確かにここの蕎麦は美味い。麺がしっかりと練り込んでいて、香ばしい匂いと口に溶けていく食感がたまらない。ツユも僕好みの塩っぱい味だ。甘くないのは不幸中の幸いだ。まあ、こんな所に足を運ぶ位ならコンビニの方が安価に済むのだが。

それでも誰かと食事を摂るなんて久しぶりのことだと思う。母と一緒に生活していた時以来だ。
ずるずると蕎麦を啜りながらそんなことを思う。
長谷川は僕に色々な事を語った。友達7人と家で寝泊まりした事。彼女とのセックスの思い出の事。子供の頃は喧嘩に明け暮れていた事。どれも昔の僕とは正反対だった。

長谷川「飯も食ったことやしそろそろ二人でラブホテルにでも行くか」
漸く僕の仕事の時間だ。
月永「料金は後払いでも良いですよ」
僕は長谷川に小声で呟いた。
長谷川「1時間5万やろわかっとるわ...男とやるのもたまにはええわ」

今の所僕による長谷川の評価は強欲魔人と言った所だ。そして思ったよりもまともだった。こんな奴を利用しようとした僕が馬鹿だった、金の卵を産む鶏どころか石を産む鶏だ。詰まる所僕はコイツに振り回されっぱなしだった。
長谷川「ここのラブホは安いんや。ドリンクも無料やしね」

僕と長谷川はベットの上に寝転がった。
長谷川「それじゃあいくで!!」
流れ作業の様にセックスは進んだ。長谷川は早漏のようで、10分も経たずに僕の中に出し終わると寝入ってしまった。
せめてコイツから5万取らなきゃな。そう思いながら僕も長谷川につられて寝入ってしまう。

寝ている時僕は故郷にいた時の夢を見た。故郷で僕は虐められていた、同級生、担任、近所の大人たち。理解のない、生きる選択肢がない故郷だった。両親の離婚を機に故郷を出た。だけど、自分を取り巻く環境は変わっても、自分自身は変わらず堕落していった。

挙げ句の果てにラジコンとなり、碌でもない弁護士と絡み一生を不意にしてしまった。
パッと目が覚める。
長谷川「おう、起きたか?はい5万円や。今日は楽しかったで月永はん」
月永「そう...」

長谷川「そうや最後にアンタにしたい事あんねん」
月永「?」
長谷川は僕の頬にキスをした。
長谷川「また遊ぼうな月永はん」
僕はキスされた頬をさすりながら思った、僕はあいつが嫌いだ。僕と同じ底辺なのに人生を楽しんでいるあいつが。

おしまい

この作品について

2022年現在でもなんJにたびたびスレが立つ作品である。なんJに投稿される場合「月永皓瑛「僕の大嫌いな人」」という題名、冒頭部の一文はカットで投稿されることが多い。

本投稿では、一番最初にスレが立った時の題名と構成とした。

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