恒心文庫:唐澤貴洋電脳AI説

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本文

20年前用水路に落ちて死んだのは弟だけではなかった。
愛する息子達を失った洋は寂しさを紛らわすため兄・貴洋のあらゆる成長の記録から貴洋を模した人格を形成、ニューロに閉じ込めることで擬似的な息子の創造に成功する。
電子AI・貴洋の思考は「もし貴洋が生きていたら」を忠実に再現していた。
姿形は無くともコンピューターから発せられる音声は息子の声そのものだし、当然会話もできる。人間となんら変わりはなかった。
やがてAIは父の背を追うように勤勉に励み臥薪嘗胆、電脳の特徴をフルに活かしネットに強い弁護士という地位を確立。
史上初、「顔の無い」弁護士は今日も得意気にIPを開いている。

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