恒心文庫:唐澤家の書き初め

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本文

唐澤家の書き初めは、筆を使わずに父洋の白いもみあげで書き上げるのが恒例だ。真っ白なもみあげを墨に浸し、息子と父の共同作業で作品が仕上がる。
しかし、今年は昨年までとは少し勝手が違う。兄唐澤貴洋とともに3歳となった弟厚史もこれに挑戦することになった。
幸い、洋のもみあげは左右にあり、事は問題なく進むかに思えた。ところがどっこい、正月早々悲劇は起きたのだった。
右もみあげを持つ唐澤貴洋と左もみあげを持つ厚史が同時に書こうとすると、洋の頭はグラグラと揺れ二人とも文字を書くことができません。
すると唐澤貴洋「当職が先に書くナリよ」と言って厚史を圧倒します。これ聞いた洋は「お兄ちゃんなんだから厚史に先に書かせりゅよ」と唐澤貴洋を叱ります。
さすがの唐澤貴洋もこれには逆らえず、不満そうな顔で墨のついたもみあげから手を離し、厚史が先に書を書き上げた。

この出来事が原因で後に兄唐澤貴洋が事件を起こすこととなるのだが、このときまだ父洋は知る由もなかった・・・。

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