恒心文庫:ラブレター
本文
Ⅰ
僕はの名前は唐澤貴洋、彼女いない暦38歳の素人童貞。
若い頃大学浪人と司法浪人を繰り返し恋愛を経験できないまま40手前になってしまった。
僕は死ぬほど彼女がほしい。僕を愛してくれる女が。
大学時代から寂しさゆえ
親の事務所の金庫から金を無心しては風俗で女を買ってセックスに浸っていた。
だがそれにも飽きた。
本物の恋愛がしたい、愛し合いたい、僕は切望していた。愛に飢えていた。
ある日いつものように貴洋は事務所のポストを除くと
白い便箋に入った手紙があった。
『初めまして。突然のお手紙でごめんなさい。
私は今年の3月まで、唐澤さんと同じビルの事務所で働いていました。
もしご迷惑でなければ、今度お食事でも一緒に行きませんか。
お返事をいただけたら、とても嬉しいです。
(住所、森本知美、ブログアドレス)
p.s.私のことを少しでも知ってもらいたくて写真を同封しました。
また、上のアドレスは私のブログです。 』
Ⅱ
その日の午後11時、タワーマンション40階の自宅にて貴洋は薄暗いキングサイズのベットのある上質な寝室で寛ぐ。
そういえば写真も入っていたっけ…手紙の中から出してみる。
写真を見た瞬間、僕は強烈な興奮、多幸感を味わい、射精した。
「ああっこれは・・・こんな上品で奇麗なメス豚が僕を・・・!」
ブログのURLにもアクセスしてみる。
何も表示されない、まあ書き間違いでもしたのだろう。
貴洋は手紙をもう一度舐めるように熟読する。
「と・も・み、知美ちゃんと言う名前ナリねぇ」
貴洋はほくそ笑んだ。
気分が舞い上がってしかたがなかった
これで素人童貞も卒業できる。
風俗の恋愛ごっこじゃなく真の恋愛ができる、貴洋は幸福だった。
就寝前、貴洋は同封された写真で手淫を行い深い眠りについた。
Ⅲ
翌日の早朝、貴洋は日課の自分を誹謗中傷している掲示板をチェックした。
貴洋はパソコン画面を見て戦慄した。
「ナリィィィィ!!!!!こんなのありえないナリ!嘘ナリ!!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
そう、ハメられたのだ。
ラブレターなど恒心教徒が捏造した偽物だったのだ。
貴洋は勢いよくマンションの窓を開け、40階という高層階から飛び降りた。
人生の最期まで無能な生きる価値のない馬鹿な男であった。
この作品について
偽ラブレター事件をヒントに2016年6月に投稿された作品である。
投稿者は「素人童貞」と書こうとして「童貞」と書いてしまったとのことだが、その後2018年にまさか本人が童貞宣言するとはこの時誰が予想しただろうか。
挿絵
リンク
- 初出 - デリュケー ラブレター(魚拓)
- 偽ラブレター事件 - 題材にした事件。