恒心文庫:セックス弁護士

2020年12月20日 (日) 21:21時点における>チー二ョによる版 (ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> 金も、美味い飯も、良い家も、ほんの少しのプライドを犠牲にするだけで手に入る。そういう類のこと…」)
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本文

金も、美味い飯も、良い家も、ほんの少しのプライドを犠牲にするだけで手に入る。そういう類のことを言いながら、山岡さんは俺の服を脱がした。「あの人」が欲しがっているのは肉体であり、俺の手腕じゃないってことも、彼は付け加えた。
「きみがちゃんと期待に応えられるかどうか、僕がチェックする」
「……はい」
「すぐには堕ちないでね。からさんのダーキニーになりたいんでしょ?」
俺は頷き、身体を這う指の感触に学生時代を思い出した。あの頃の俺の日常とは、サークルの仲間たちに毎日輪姦されて精液まみれになることだった。あのときから俺はおかしくなった。性的快楽のある世界が正常になり、セックスのできない日に狂う。果てのない性への欲望を解放するためだけに、好色な金持ちのいるこの事務所を選んだ。
「あの人はね、いじめるのが好きなんだ」
服を脱がない山岡さんの指は、俺の耳、首筋、鎖骨をゆっくり這って下り、乳首に触れた。
「筆でくすぐったり、針で刺したりね」
緩やかに乳首を捏ねていた指の力が突然ぎゅっと強くなる。
「人の苦しむ顔が好きなんだよ。金で人を黙らせて、虐待して……コンプレックスの表れかな」
俺は痛いほど勃起していた。一秒でも早くいじめられたくて反り返ったものは既に汁を腹に垂らしている。
「あ」
「何?」
「あなたもされたんですか」
「……お前に関係ないだろ。オナホが喋るな」
あからさまな動揺に、ああこの人も同じなんだなと俺は感じた。徹底的に苛め抜かれたんだ。嫌だと絶叫しながらぐちゃぐちゃに犯されて、自分の中の欲望に気付いたに違いない。スーツの下にはきっと縛られた痕が生々しく残っているんだろう。
彼の愛撫は気持ちよくて脳がとろけそうだ。この人は悦楽を知っている。こういうのは自分で快楽を受けた経験がなければ、人にもできない。
気がつくと指は怒張を素通りしてアナルに達していた。たっぷりローションを塗られ指が侵入してくる。ゆっくり挿入された指は暫く動かなかったが、徐々に内部を刺激し始め、またゆっくりと抜き取られた。その繰り返しだった。丁寧に拡張されたアナルに指が三本入るようになった頃、俺は苦しみに喘いでいた。もうずっと勃起し続けているのに一度もイかせて貰っていない。
「つらそうだね」
俺は頷く。
「扱いてほしい?」
また頷く。
「そう。でも、中でイけるように頑張って」
山岡さんはベルトを外した。尻の中に山岡さんのペニスが入ってくる。のし掛かられて、彼の熱い息が耳にかかった。声が溢れる。腰が浮く。背中が反って、俺はシーツを掴んだ。尻の中の熱い部分をえぐられる。いく、いく、とうわごとを言い、あっという間に精を吐き出していた。

俺がイくとさっさと身体を離して「シャワー浴びてくる」と言った山岡さんの腕を掴んだ。
「あの、もっとしてください」
「どうして? 嫌だよ、もう充分だろ」
手は振り払われた。
「俺おかしいんです、セックスしてなきゃ死んじゃうんです。へとへとになるまでやらなきゃ、毎日毎日毎日毎日セックスしてないと頭がおかしくなる。でも相手は誰でもいいわけじゃない、俺あんなのの相手はやっぱりしたくないです、あなたがいい。もっとしてください」
「今更何を言うんだ? 僕だって忙しいんだよ。きみはからさんと寝るんだ。そのために来たんだろ」
「嫌です」
「……じゃあこうしよう。きみがからさんと寝るのは、僕の命令だからだ。僕に抱いてほしいんだろ? なら僕の命令は聞く、それはできるよね?」
必死で頷くと、彼は「じゃあ明日からよろしくね」と小馬鹿にした様子で俺を見下ろした。

正式に入所が決まってから俺は何回か抱いてもらって、彼の機嫌のいいとき、俺もその身体を好きに出来た。けれどどうしても、キスだけは許してもらえなかった。

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