恒心文庫:BEYOND THE TIME

2019年11月29日 (金) 12:43時点における>Ostrichによる版 (正規表現を使用した大量編集 カテゴリ:恒心文庫を導入)

本文

人間とは、命とは、何であろうか。
今Kが手にしている缶ジュースは百数十円ぽっちであった。その百数十円を貧しい国の人々に寄付していたのならば、幾つもの命が救われたであろう。
貧富、産まれ、社会的序列、身体、親、etc...
産まれながらにして格差を持つ、これが優しい世界なのか?自問自答を繰り返す日々。

風の民のほとんどはその格差の底辺に住まう者達だ。その者達の恨み辛みを一身に受け止めることで救われるのではないか、そんな思いは所詮幻想、机上どころか脳内の妄論でしかなかった。

缶ジュースを飲み干す。体に悪いと言われているが買ってしまう。何故なのか?答えてくれる者は、神はいない。

全ての格差を無くすためには、どうしたらいいのか。ある者は神託を受け救いの教えを人々に広めた。ある者はハルマゲドンに毒薬で対抗しようとした。
今ではその者達も息絶え土の下だ。概念と思想だけが足を生やして蠢いている。その足にしがみつく人々は救いを懇願したが、足から上は考えてみると何も無い。足は目的も無くただ歩いている。足だけが。
その足にしがみついてるから前に進めている、のではなく自分の足で歩いているから前に進めている、ということに人々はいつ気付くのか。気付いてもまだしがみ続けるというのか。それが信仰か。

事務所入口の花瓶でカワミドリが鮮やかな薄紅藤を晒している。
「からさん、こんにちは」
以前より明らかに窶れていたが、それでも当職の理想に向かって二人三脚で歩んでくれた相棒が挨拶をかけてくれた。
軽く返事をしてソファーに腰を落ち着かせる。カラになった缶をずっと持っていたので手が少しベタつく。
そのベタついた手でモニターのスイッチを押す。すると、巨大な装置が映る。思わず口が繊月型に曲がってしまう。

核では足りなかった。全ての格差を取り除くには。
漸く完成したそれを眺めてから、また缶ジュースを飲む。しかし当然缶の中には人工の甘い蜜は一滴も残っておらず、喉は渇きを増すばかりだ。
缶を捨てるついでに手を洗う。水道水をそのまま飲もうと思ったがそれではカワミドリと同じではないか、という考えが頭に降って湧いた。しかし、人と植物に違いなどあるだろうか?苦しみ、楽しみ、他の生命と共に暮らし、そして死んでゆく。変わらないのだ。
コップも使わず水道から直に水を得る。Kの喉は途端に満足した。水無き喉に潤いを。

既に準備を終えたY本が呼びかけてきた。
ここまで本当に長い道程だった。自身の未熟さを何度も憂いた。臥薪嘗胆。臥薪嘗胆。

「どうぞ。」
Y本、Y岡の2人とは汗を、涙を、汁を流しあった。報恩謝徳。報恩謝徳。

「空は何色か」
「優しい色です」


「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
装置に乗り込む。

ギュイイィィィンンン---

「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)」

放射線はKを豹変させた。それと同時に肛門から勢いよく出た糞は装置の内部を瞬く間に埋め尽くした。
脱糞の勢いは増していく。
頑丈に密閉されたはずの装置は通常ならガスの0.0001mgすら外には漏らさないが、Kの糞の前にはまるで無力だった。糞の粒子はこの世界のあるゆるものより細かく小さかった。装置がビッグリップを起こす。新しい元素が生まれる音より大きく、速く、糞は駆け抜けた。
やがて地下室を満たし、事務所から溢れ出てきた。それに触れたものは全て素粒子レベルで崩壊し、糞に吸収されていく。人も、建物も、植物も、等しく。百数十分で東京を覆ったそれは、それだけでは飽き足らず千葉県や群馬を飲み干す。

京都が今まさに溶けようとしていたその時、糞の勢いは数百倍に増した。富士山の肛門からマントルのエネルギーを得たのだ。

アフガニスタンの貧しい子供がゴミを拾おうとしたその瞬間、糞は既に過ぎ去っていた。そこには原爆のような影すら残らない。糞は等しく飲み込む。
無慈悲か?いや、慈悲に溢れている。慈悲しかない。

1時間もしないうちに地球を飲み込んだ糞は引力を持っていた。月が、火星が、太陽が―――。
ブラックホールから別の次元の宇宙へ到達する。糞は光の速度を越え、無限の質量を持っていた。やがて銀河を、時空を飲み込む。グラハム数を飲み込む。全てを、天地万物、何もかも。



糞が本当に全てを飲み干した時、糞は糞自体の引力によって一点に凝縮された。見えるか見えないか、あるかないかの一点。


そこにもう一つの点がゆっくり、それでも確実に近寄る。Kだ。Kは糞を出し終え、新たなる宇宙を創世しようとしていた。
「優しい世界を」
絶対真空の中でそう呟いたかどうかは定かではない。が、糞の中のY岡は聞いていてくれたか……?

平等な世界を真に望んでいたならば宇宙など作らなければいい筈である。だが、唐澤貴洋も人間であった。不平等な存在が平等を生み出すことなど不可能である。熱力学第二法則然り。



Kが糞点に触れる。
刹那、爆発。


……

『『『124 :アワー ◆AncFs.onPM :2012/03/07(水) 13:53:21.06 ID:oxdrSDQ/
>>115
俺の中だとお前はニートか浪人生で友達がチョコパイのチンコなんだけど?
 
131 :風吹けば名無し:2012/03/07(水) 13:55:03.89 ID:cSd4lo0X
コテつけといてそれはねーだろ
きめぇな、死ねよマジで

132 :風吹けば名無し:2012/03/07(水) 13:55:06.29 ID:QeRUeWd/
とりあえずこんなネットの辺境で自己主張してもなんの利益にもならないからコテ外せよ 』』』

「クソカス共がみてろよ」

『 合格通知書
 http://imepic.jp/20120307/519290" target="_blank">http://imepic.jp/20120307/519290
 教習所の学科の教科書
 http://imepic.jp/20120307/519540" target="_blank">http://imepic.jp/20120307/519540
 あーめんどくせえ
 これでい』
パチパチ 、、、

書きかけたところで何かが頭をよぎる。何かが吠えている。

「・・・」
手が震える。何故か。散々馬鹿にされ、煽られた。現在進行形。見返さなくていいのか?
己を勇ませようとするも手が動かない。

反三日月の瞳

何かしらの恐怖を感じ背後を振り返る。ただ汚れ黄ばんだ壁があるだけだ。

「・・・」
Hは怯えながらPCをシャットダウンする。

電力の退いていく音だけが静寂の中に響いた。

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