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恒心文庫:定期総会の後で

提供:唐澤貴洋Wiki
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めざめた会長のぼやけた視界に映ったのは馴染み深い男の裸体だった。にんまりと笑ってグラマラスな唇を舌で舐めている。会長が咄嗟に目を逸らしたのは、その行為の汚らわしさが癪に障ったからではなく、湧きあがる劣情を制止するためであった。
「ここは……」
「インペリアルフロアのスイートさ。高かったんだぜ」
会長は尚も醒めきらぬ意識のなかで、一日を順々に思いだしていた。朝から協会の集まりがあり、立ちっぱなしで大変だった。終了後の立食パーティも隅の席で一人シャンパンを飲み、好物を皿にいっぱいに盛って食べていた。そこへ声をかけた男がいた。どうしたんだ、疲れたのか。一杯でいいから、ビールを一緒に飲まないか。そう言われて渡されたビールを飲んだら、あっという間に睡魔が身体を乗っ取って……
「卑怯だぞ、どうするつもりだ」
語気は強かったが内心怯えていた。会長は男とのトップの争いをあらゆる手段を使って勝っている。恨まれ、復讐されても文句は言えない。
「なに、今日はお前と『プレイ』がしたくてな」
男はそういうと四つん這いで会長のそばへ寄った。シャワーを浴びたのか、男の肌からは仄かにボディソープの匂いがした。しかし、それ以上に会長の鼻腔を刺激したのは、肌のうちに潜む、男の心から放っているようにさえ思われる体臭だった。
「よせ、やめろ」
「抵抗するには力が弱いぞ。睡眠薬とアルコールを一緒に飲んだから、身体をうまく動かせなくても無理はないがな」
男はそろりそろりと指を純白のシーツの上で行進させ、会長の門へと近づけていく。弱々しく上げた会長の足は、簡単に男の腕に抑えられる。
「安心しろ。息子ので慣れているから」
会長は男のその一言の後、強烈な刺激を感じた。今までに経験のない、女との行為でも味わったことのない、麻痺するような感覚。
「……気持ちいいか」
「そんなこと……」
「嘘だな。こんなに元気になっているじゃないか」
会長は顔を赤らめる。もう抵抗する気は失せていた。そのまま男の指使いに身も心も委ねた。
「おい、そろそろ、やめてくれないか」
「どうして?」
「その、アレが……」
会長は立食パーティで食べすぎたことを後悔した。足を内股にして、処女のような恥じらいをしてみせる。男はさらに口角を上げた。
「いいぞ。思う存分かけてくれ。俺の右腕に」
男の中指がさらに加速して会長を絶頂へと誘う。短い叫び声の後で会長は男の右腕を茶と白に染めた。
まだ会長が快感の海にたゆたうなか、男はおもむろに会長に尻を向けた。
「さあ、今度はお前の番だ。頼むぞ」
呼吸を整えると、いつのまにか意識ははっきりとしていた。今ならこの男に自分が味わった以上の気持ちよさを与えられる。会長は不敵な笑みを浮かべて、中指を男の門へと伸ばした。

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