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恒心文庫:好き好き貴洋

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

「にいちゃん!にいちゃん!」
弟が、当職の上で揺れている。上下に振れるその度に、水音が辺りに響き渡る。
当職は天井のシミを数えていた。天井のシミは、その一つ一つが、弟との思い出であり記憶だ。喘ぎ声をあげた弟が瞬時に仰け反り、勢いで当職のチンポが露出する。
飛び出した亀頭はふるふると震え、数瞬して精子を噴射した。まるで蛇口の先を指先で抑えたが如く、四方八方に精子が飛び散る。当職は、包茎なのだ。ニヤリと笑みを浮かべた当職の顔面を中心にして、壁にもベッドにも天井にも、開け放った窓にも、パノラマの如く男の匂いが走り抜けて行く。
大惨事である。その惨状を引き起こした皮を被った筆先は、精子の勢いに押されてさらによれ、ねじれる様にして佇んでいる。粘液によってテラテラと黒ずんでいるそれは、余韻に浸る様にヒクついていた。深い沈黙である。しかし、当職は意を決して手を伸ばし、そして叫んだ。
勢いよく剥かれる包皮。包皮の中は案の定ちんカスと古い乾いた精液と今放った精液がないまぜになり、マーブル模様を描いてとろけていた。古い精液もこびりついた垢も、今しがた放たれた水分によって徐々にふやけ、かつての臭いを取り戻しつつあった。
開け放たれた窓から、臭いが風にのって飛んでいく。虎ノ門に、唐澤貴洋が匂い付けしているのだ。
通学途中の子供達は吐き散らし、おじいちゃんおばあちゃんは白目を向いてのけぞる。電車はことごとく脱線し、下の階のもみあげは爆発、高層ビルからはビジネスマンが窓を突き破ってポロポロと落ちていく。
唐澤貴洋 爆臭 。そういうことなのだ。
唐澤貴洋 爆臭 。そういうことなのだ。
唐澤貴洋は指先でちんカスを拭うと、それを弟の鼻の穴にぶち込んで、笑った。

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