恒心文庫:狂っているのは僕の方
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本文
夕方、学校から帰宅すると今日も父と兄は身体を弄りあっている
互いが互いを求め合う、それは素晴らしい事だとは思うのですが僕の目前のそれははっきりいって異常なんですよね、実は。
父と兄がこういう関係になってから母はもう何年も自室から出てこない、後でいつものようにドアの前に食事を用意しておこう…
「でりゅ!でりゅよ!!」
居間の方から父の叫び声が聞こえる、絶頂に達したようだ、
僕は声の聞こえた方向に行くとそこには汗だくで鬼頭の先から雫を垂らす父と兄がソファに横たわっていた
精液が辺りを所々汚している
僕はため息をつくと雑巾で汚れを拭いていった
・・見ると交尾に疲れた父と兄は安らかな顔で寝息を立てていた
僕は、再度ため息をついた
深夜、静けさが街を覆う頃に
僕は台所から包丁を持ち出し、父と兄が眠るソファへと向かい二人の悪魔を見下ろす
お前らは狂ってる
汗と共に包丁の柄を握りしめ、そして───
・・・狂っているのは僕の方じゃないか
肉親を殺めようだなんて、僕は何て恐ろしい事を考えつくんだ!
恐怖、憎悪、自分への失念が混ざったドロドロとした汚い感覚が全身を覆う、手が震え包丁を床に落とす
カシャン、と乾いた音が鳴り父と兄が目を覚ました
二人はまた盛り合う
僕は走り、自室へと向かう
机の引き出しから縄を取り出し椅子に乗りタンスの上部に結びつける、自らの首にも・・・
ごめんね母さん、もう色々限界だよ
僕は足元の椅子を蹴った
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
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