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恒心文庫:嫌な奴ら

提供:唐澤貴洋Wiki
2022年10月22日 (土) 22:22時点における>麺包超人に強い弁護士による版 (ページの作成:「__NOTOC__ == 本文 == <poem> 八雲法律事務所は毎日「奴ら」の監視下に置かれている。奴らと言うのは「マヨルカ島掲示板」っていう掲示板の住民のことだ。 奴らは当職の元同僚に何年も粘着しており、当職も元同僚の繋がりで別に粘着されることになってしまった。 細かい事を言い出すとキリが無いので要するにネット上で嫌がらせを受けているとだけ…」)
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本文

八雲法律事務所は毎日「奴ら」の監視下に置かれている。奴らと言うのは「マヨルカ島掲示板」っていう掲示板の住民のことだ。
奴らは当職の元同僚に何年も粘着しており、当職も元同僚の繋がりで別に粘着されることになってしまった。
細かい事を言い出すとキリが無いので要するにネット上で嫌がらせを受けているとだけ言っておく。
奴らは当職だけではなく八雲法律事務所に所属する他12人の弁護士も粘着対象とし、散々な扱いを日常的に行っている。最初は当職も乳首だとかリャマだとか無能だとかたかひろくんの世話役だとか言われてメンタルをやられた。
何年も言われ続けてきて今はすっかり慣れているが、つい最近入所した弁護士も最初はかなり嫌な思いをしていたようだ。
奴らは「童貞」が多い。八雲法律事務所を「ハッテン場」に見立て所属弁護士が官能小説的な業務をしているとおかしな妄想をし掲示板で一日を過ごしている。まあ勝手にそう思わせておけばいい。
厄介なのは奴らは関係するものは何でもネタにしているということだ。奴らに素材を提供するのはあまり好ましくないのだが、奴らはインターネット上からありとあらゆる技術を駆使して事実追及という名の嫌がらせもしてくる。
一方でインターネットに強い弁護士としては奴らのネット技術は見習うべきかもしれない。八雲法律事務所はインターネット法務を中心に取り扱っているものの、ワードプレスを取り扱える弁護士は存在しない。そのせいで今日事故が起こってしまった。
奴らは八雲法律事務所のホームページにしょっちゅうクレームを入れてくる。ニュースを更新しろだとか顔写真載せろだとか、ひどい時には何かのwikiの方が充実しているからURL貼れとかもうめちゃくちゃだ。
八雲法律事務所の弁護士は奴らとは違って暇ではない。ホームページの編集に時間など使う時間はほとんど存在しない。それでもお構いなしにクレームを入れてくる奴らのために一応ホームページは編集する。八雲法律事務所の中で比較的暇な時間が多いであろう弁護士がホームページ編集の担当だ。
奴らは八雲法律事務所のホームページを監視してくるわけだからこちらも掲示板を監視せざるを得ない。相変わらずクレームやら事実追求やらおかしな妄想やらで盛り上がっている異様な空間だ。
その中で今日はホームページが壊れているとの指摘があった。インターネットに強い弁護士としてはホームページすらまともに運営できないと思われるのはマズかった。慌てて担当に声をかけ、グーグルで調べながら対処を試みた。
「どうせホームページを見ているのは奴らだけ」、そんなことは薄々当職も分かっている。奴らは最近過激になっていて、この前もセミナーの仕事を無しにされた。
八雲法律事務所が奴らから舐められるようなことがあればまたセミナーが1つ2つ潰されてしまう。事実追求でセミナーがなくなったことを憫笑されるのは何としても避けたい。インターネットに強い弁護士を騙る者ならましてそう思う。
担当は匙を投げた。対処するどころかかえって悪化している。所属弁護士12人にはホームページが直るまでは家に帰ってはいけないと宣告した。全員に今の危機的状況を吞み込ませるためだ。
当職とワードプレスとの戦いが幕を開ける。分からないことを分からないなりに何とかしようとしても一向に直らない。奴らに気付かれる前に直してしまいたい、ワードプレスと奴らの掲示板、グーグル検索の3つを行き来しながら修復作業は続く。
一番早く動きがあったのは奴らの掲示板だ。八雲法律事務所のホームページが壊れていることに気付かれてしまった。早速掲示板には激励のチクチク言葉が並べられた。心が痛む。
今回も仕事しろだとか大喜利しなくていいから早く直せだとかワードプレスすら使えないだとか散々だった。心が痛む。
すっかり疲れ切った当職にもはら気力なんてものは存在しない。奴らの掲示板を見に行くとやはり何かのwikiのURLを貼っておけとURL集も書き並べられていた。
「本当にURLだけでいいのならどれだけ楽に済むのだろうか。」疲労でげんなり萎えた当職の乳首に問いかける。
当職に変わる前に担当に怒鳴りつけていた菊地、当職がトイレに行こうとするとお漏らしを受け止めてくれた笠置、松戸まで当職の好きなお菓子を買いに行ってくれた千葉、町弁の町田、顔を見ただけでよだれが垂れてくる杉本、
八雲法律事務所癒やし系の阿部、当職の手当をしてくれた田村、心の根が大きく立派な星野、我が子のようにかわいがってる長野、入れ物界の新星柏原、硬派と言うか伝統を重んじる畔柳、そして八雲公認イラストレーターの小林、
当職の事務所には当職がどんなに辛い状況でも12人の仲間がいる。だからどんな困難があろうとも奴らからどんな酷い仕打ちを受けようとも、一緒に乗り越えられる仲間がいる。それが八雲法律事務所の自慢だ。
ホームページは直らなくなったが、八雲法律事務所の良さを再確認できた。案外これはこれで悪くないかもしれない。
ホームページを何かのwikiのURLに張り替え、対処完了とした。感極まる13人。早速阿部と小林は家に帰らせ、残った11人は上下の衣類を脱ぎ捨て日が昇るまでやってやろうではないか。
後は言うまでもないことだろう。なぜなら奴らは一生知り得ない情報なのだから。

タイトルについて

この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。

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