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恒心文庫:旧成人

提供:唐澤貴洋Wiki
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本文

本日は新成人の輝かしいハレの日であるが、齢40を迎えたKも、その人生の半分、つまり20年前は同じように祝福されたわけで、テレビに映る喜ぶ若人の姿を見て、その時のことを懐かしく思っていた。
ただ、今も昔も変わらぬかな、男は正装、女は晴れ着と洒落込んで、髪も豊かに色とりどり。騒ぎ狼藉無礼講、訳もわからず笑う者、新成人は一歩引き、恩師と世間を語り合う。さらに離れて日陰者、能面被って時を見て、早く終われと目を止める。
今も昔も、Kは言うまでもなく日陰者であったが、当日何をどう間違えたのか、無頼漢の正装である紋付き袴を着てしまい、ハレの日に雨あられが降りそそぐという、なんともあわれな結末になってしまった。しかもその正装はKではなく父が強制したもので、なんでも先祖代々の由緒あるものだとか。ハレの日に決まって着る正装があるのは、ある意味裕福な家庭に生まれ育った宿命とも言えるが、Kの場合はその他にも、みだりに脱糞をする癖があり、その際体に合わせた服を着ていては目立つだろうと、糞を落としやすい服の方が便利だろうという父の配慮も含まれていた。だが、頭の足りないKは、そんな父の配慮など知るよしもない。それどころか、着たくないものを着せられることへの怒り、それによって狼藉にあうことへの怨みのみが募り、父を懐妊させると決意する。この日から数年後、実際に父は息子の子を孕み、それによって街が阿鼻叫喚することになるが、それはまた別の話。
とにかく、Kは40を迎えた今でも、未だに成人式の出来事を根に持っている。磔にした父を犯しているのが良い証拠だ。父は用意された円卓に手足を広げた背臥位の状態で縛られ、乳と一物の部分には穴が開いて下から搾れるようになっている。Kは父の体に重なるように、大の字になって尻穴を犯し、同僚のYは父の乳と一物を搾ってミルクを採取していた。犯している間は負の感情を忘れられるが、一旦射精してしまうと快楽と同時に悲壮感も込み上げてくる。その原因は、やはり成人式。これを解決しない限り、Kの心はいつまでも満たされない。
だが、どうやって?今更成人式を行ったとしても、Kは既にその二倍。欲を絶つことはあっても、欲を満たす年齢ではないはずだ。なりより、Kには成人式を行うだけの資産も人脈もない。それならば消去法として残るのは、成人式に新成人として出席することのみ。それは今のKでは為し得ぬことであった。
「せめて年齢を半分に出来れば」
Kは半ば諦めた口調で呟いた。そしてYは閃いた。
「それなら、体を半分にすれば良いのです」
あまりに突飛な発言にKは思わず射精したが、よくよく話を聞いてみると、なるほど単純ではあるが理にかなっている。40を2で割ると20になるように、体も二つに分ければ20の自分が出来上がるはずだ。しかもその体は二つ出来るため、二倍成人式の喜びを味わうことができる。KはYの考えを絶賛しつつ、すぐさま自分の体を半分にするよう頼んだ。
「任せてください」
Yは早速一物をしごき始めると、超高圧の小便を噴出し、そのままKの体を真っ二つにした。すると、断面から血が噴き出して死んでしまった。
YはKの亡骸を持って成人式に向かったが、Kはまたしても受け入れられず、結局二倍の悲しみを背負うことになった。

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