「恒心文庫:初出勤」の版間の差分
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(相違点なし)
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2021年9月25日 (土) 17:55時点における版
本文
司法試験に合格し司法修習を終えいよいよ
どの事務所に入るか選ぶことになった。
事務所を選べるような身分ではないのだが
私はネットに強くAmazonに勝訴したことがあるという山岡裕明弁護士が代表を務める八雲法律事務所への入所を決意した。
今日は指折り数えた初出勤の日である。
早めに出勤し代表である山岡弁護士に挨拶をしようとしていた。
いよいよ弁護士としての生活が始まる。
胸の高鳴りを抑え事務所に足を踏み入れた私の眼前に広がった光景は想像とは正反対どころか唐沢貴洋の弁護士としての腕の如く存在しない、夢想だにしないものだった。
所属している男性弁護士達が皆机の上に立ち
下着一丁で手を後ろに組み空中に向かって
オッスと言いながら腰を振っている。
その様子を満足そうに一人の男性が眺めていた。
「よくきたな、さあこっちに来い」
ミッドナイトネイビーの素晴らしい仕立てのスーツをみにまとうこの男性こそ、八雲法律事務所の代表山岡裕明弁護士である。
おそるおそるあの人たちは何をしているのですかと聞くと、狂気を孕んだ答えが返ってきた。
「あれか?気合を入れさせている、最近は軟弱な弁護士が多いからな」
気合?気合を入れるためにあんなことをさせている?東大を出て司法試験を通った弁護士であろう人がそんな根性論の極みのような指導を?困惑する自分をよそに山岡弁護士はさらに続ける
「うちの事務所には入所してから3年の間は席はねえ、ずっと空気椅子で業務をしてもらう、ここは鍛錬の場だ。
もちろん代表の俺もずっと空気椅子か立って仕事をしている、気合が足りてねえなと思ったらあのポーズで服を脱がせて腰を振らせて気合を充填させるのよ」
一体なぜそんなことをさせるのかと問うと
おいおい何を言ってるんだと言わんばかりの顔をして山岡弁護士は持論を語ってくれた。
「弁護の場ってのはいわば他の弁護士との戦いなんだよ、鬼面を人を威すといったりもしてな。要は俺たちの気迫や気合が足りてないと自ずと相手の弁護士の社長が通っちまう、だからぜってえ負けねぇ!という意思と気迫で相手を威すが如く依頼人を弁護する、そうすることで自然と勝訴をもぎ取れるようになるんだよ」
何を言ってるか理解できなかった、ネットに強い弁護士がこんな根性論と精神論でなんとかする人だったなんて、後退りする自分に向かって山岡弁護士は平然とわたし業務命令を飛ばしてくる
「ほら、お前も気合が足りてねえ。服脱いでそこの机の上で腰振れ、デカイ声でオッスと腹の底から叫べ」
あまりの凄みに身がすくんで動けない
山岡弁護士は続ける
「やれと言うだけじゃ人は動かねえか、新人のために俺がここは手本を見せるべきってことなんだな」
山岡弁護士がするすると慣れた手つきでスーツを脱ぎ捨てボクサーパンツ一丁になり、机の上に仁王立ちした。建物の壁を振動させるんじゃないかと言う大声でオッスと叫び腰を振り始めた。山岡弁護士を男性たらしめるものがムクムクと臍にむかって屹立しパンツから亀頭を覗かせる。あんな巨大な男根を見たのは初めてだ。自分は断じて同性愛者ではないがあの巨大な者には自然と目が釘付けになってしまった。
気合い入れが終わると山岡弁護士がこちらへズカズカとやってきて自分に耳打ちしてきた。「俺の股間に目が釘付けだったじゃないか、女より男の方がデカチン好きって聞いたことがあるが本当みたいだな!」
体が強ばり恐怖に慄く、とんでもないところに来てしまった。
出口へ脱兎のごとく駆け出す。
逃すか!追え!と怒鳴り声が聞こえる
死ぬ気で走り自宅にたどり着いた。
この事務所に入るのはやめよう。私はそう決めた。
タイトルについて
この作品は公開された際タイトルがありませんでした。このタイトルは便宜上付けたものです。
リンク
- 初出 - デリュケー 初心者投稿スレッド☆1>>655(魚拓)
- 恒心文庫:選抜試験 - 八雲法律事務所の選抜試験を題材にした作品